ブラジルのルラ大統領、中国の対米関税対応を称賛 BRICSと多国間主義を強調
ブラジルのルラ大統領、中国の対米関税対応を称賛
ブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領は、ブラジリアで中国の王毅外相と会談し、米国が課した関税に対する中国の対応を「称賛に値する」と評価しました。本記事では、この発言が示すブラジルと中国の関係強化、BRICSやグローバルサウスの連携、多国間主義への影響を整理します。
ブラジリアでの会談:対米関税対応を称賛
現地時間の水曜日、ブラジルの首都ブラジリアで、ルラ大統領は中国の王毅外相と会談しました。ルラ大統領は、米国による関税措置に対する中国の対応を「称賛に値する」と述べ、中国のとった行動は正当であり、広く支持を集めていると強調しました。
一方でルラ大統領は、名指しは避けつつも「特定の国々による無責任な一方的行動」は国際社会が共同で反対すべきだと述べました。関税のような一国主導の措置ではなく、多国間の枠組みや対話を通じて問題を解決すべきだという立場をにじませた形です。
BRICSと多国間主義をめぐるメッセージ
ルラ大統領は、中国とともにBRICSの枠組みをさらに成功させる用意があると表明しました。あわせて、多国間協力の強化、自由貿易や国際ルールの擁護、世界平和の維持、そして「共通の発展」の実現に向けて協力したいと述べました。
発言の中で、ルラ大統領は「力の政治」が国際正義を踏みにじってはならないとも指摘しました。これは、軍事力や経済力を背景とした圧力ではなく、国際法や合意に基づく秩序を尊重すべきだというメッセージと受け止められます。
ルラ大統領が掲げた協力の方向性は、おおむね次のように整理できます。
- BRICSの一層の成功と制度の強化
- 多国間協力の推進
- 自由貿易と国際ルールの擁護
- 世界平和の維持
- 共通の発展と南南協力の拡大
南南協力の「モデル」としての中ブラ関係
ルラ大統領はまた、中国とブラジルの間に築かれている強固な相互信頼、頻繁なハイレベル交流、あらゆる分野での協力の深化に言及しました。そのうえで、中国との友好関係を維持することは「正しい選択」であり、南南協力の模範になると位置づけました。
南南協力とは、主にアジア、アフリカ、ラテンアメリカなどの発展途上国や新興国同士が、経済や技術、外交面で連携を強める動きを指します。今回の発言は、中国とブラジルの関係をそうした流れの中心に据えたいという意図を示しているといえます。
王毅外相:包括的戦略パートナーシップを評価
王毅外相は、ルラ大統領が中国・ブラジル間の包括的戦略パートナーシップをさらに深める決断を下したことについて、「戦略的な先見性」を示すものであり、ブラジル国民の長期的かつ根本的な利益にも完全に合致していると評価しました。
また王毅外相は、中国がとっている断固とした対抗措置は、一方的な「いじめ」に対抗し、自国の正当な権利と利益を守るだけでなく、発展途上国全体の共通の利益をも守るものであり、国際的な公平と正義を支えるものだと述べました。
BRICSとグローバルサウスとの連携強化を強調
王毅外相は、歴史の一つの臨界点ともいえる現在、国際情勢が「嵐と試練」に直面しているとしたうえで、中国は揺るがない姿勢で自らの基盤を固め、BRICSやグローバルサウス諸国との協力をさらに強めていくと強調しました。
中国は今後も多国間主義を堅持し、国際ルールを守りながら、世界に新たな希望の種をまき、平和のための新たな機会を生み出していくことにコミットしているとしています。
今回の動きから読み取れるポイント
2025年現在、世界経済と安全保障環境は不確実性を増しています。そうした中で、ブラジルと中国が関税や多国間協力をめぐって発した今回のメッセージは、発展途上国や新興国を中心とする「グローバルサウス」が、国際秩序の中でどのように自らの存在感を高めようとしているのかを映し出していると言えます。
特に、ルラ大統領が中国の対米関税対応を公然と評価し、王毅外相がそれを発展途上国全体の利益と結びつけた点は、単なる二国間関係を超えた意味を持ちます。関税や制裁といった一方的な措置への警戒感と、多国間の枠組みを通じた問題解決への志向が、共通のキーワードとして浮かび上がります。
忙しい読者のために、今回のポイントを三つにまとめます。
- ブラジルは、中国の対米関税対応を「称賛に値する」と評価し、一方的な措置への反対姿勢を示しました。
- 両国は、BRICSとグローバルサウスの枠組みで、多国間協力・自由貿易・国際ルール擁護を進める方針を強調しました。
- 中国とブラジルの関係は、南南協力の「モデル」として位置づけられ、今後の連携拡大への期待が高まっています。
こうした動きは、米国や欧州だけでなく、多様な国や地域が関与する多極的な国際秩序が進む中で、どのようなルールづくりと協力のあり方が望ましいのかという問いを私たちに投げかけています。日本を含む各国が、この流れをどう受け止め、自国の外交・経済戦略に反映させていくのかが、今後の重要な論点になりそうです。
Reference(s):
Brazil's Lula hails China's 'admirable' moves against U.S. tariffs
cgtn.com








