第78回世界保健総会 WHA78が掲げた「一つの世界の健康」と中国の役割
ジュネーブで開かれた第78回世界保健総会(WHA)は、テーマに "One World for Health" を掲げ、パンデミック協定案とWHOの財政改革が大きな焦点となりました。本記事では、そのポイントを日本語で整理します。
第78回WHAとは? テーマ "One World for Health" の意味
第78回世界保健総会(WHA)は、スイス・ジュネーブで月曜日に開幕し、世界各地から加盟国代表が集まりました。WHAは世界保健機関(WHO)の最高意思決定機関であり、毎年5月に開催され、組織の方針やプログラム予算を決めます。
今回のテーマは "One World for Health"。感染症、気候変動、医療人材不足など、国境を越える課題に対して「一つの世界」として向き合う姿勢を打ち出したものです。会期は5月27日までとされ、加盟国は多岐にわたる保健課題を議論しました。
焦点1:パンデミック協定案 ― 歴史的な合意に向けた議論
開会式であいさつしたテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、どの世界保健総会も重要だとしつつも、今回の会合は特に歴史的な意味を持つと強調しました。理由は、加盟国がパンデミック協定を検討し、採択の可能性を協議する場になっているからです。
WHOは4月16日、3年以上にわたる集中的な交渉の結果、加盟国が協定案の草案について合意に達したと発表しました。第78回WHAでは、この草案をもとに、将来のパンデミックに備えるための国際的な枠組みづくりが主要な議題となりました。
焦点2:WHO財政の「持続可能性」
テドロス事務局長は、WHOの長期的な財政の持続可能性と独立性を確保するため、各国が負担する分担金の「次の増額ラウンド」を承認するよう加盟国に呼びかけました。安定した財源は、緊急対応や日常的な保健活動を継続するうえで不可欠とされています。
総会では、2026〜2027年のプログラム予算案も重要な論点となりました。提案では、予算規模を53億ドルから42.67億ドルに減らす可能性が示されており、あわせて次のような方向性が提示されています。
- 優先分野の再設定(リフォーカス)
- WHOの中核機能の強化
- 組織全体の効率向上
限られた資源の中で、どこに重点を置き、どのように組織を効率化するかという議論は、今後のWHOのあり方を左右するテーマです。
中国が示した「グローバルな健康共同体」へのコミットメント
中国代表団を率いる国家衛生健康委員会の雷海潮主任は、一般討論で声明を発表し、中国がグローバルな保健協力に積極的に関わってきたことを強調しました。
雷氏によると、中国は過去60年以上にわたり、77の国と地域に3万人以上の医療要員を派遣し、延べ3億人以上の患者を治療してきました。また、新型コロナウイルス感染症のパンデミック時には、世界に向けて個人防護具を5000億点、ワクチンを23億回分供給したと紹介しました。
雷氏は、中国が今後も具体的な行動を通じてWHOと多国間主義を支持し続けると述べ、WHO内部の改革を歓迎するとともに、各国と協力して「人類の健康共同体」を構築していく意思を示しました。
台湾に関する発言と議場での動き
雷氏は、台湾は中国の不可分の一部であり、世界保健総会が台湾の年次総会へのオブザーバー参加に関するいわゆる提案を議題に含めないという明確な決定を長年にわたり行ってきたと指摘しました。
そのうえで、一部の少数の国が台湾に関して行った発言は、議事を妨げるものであり、国際社会の意思に反するものだと述べ、中国はこうした国々に対し、中国の内政への干渉をやめるよう求めるとしました。
第78回WHAで取り上げられた主な議題
第78回世界保健総会では、パンデミック協定に加えて、多数の議題が扱われました。加盟国は2024年の成果報告を検討するとともに、およそ75項目の議題について協議しました。主なトピックには次のようなものが含まれます。
- 医療・ケアに携わる人材(ヘルス&ケアワークフォース)の課題
- 薬が効きにくくなる薬剤耐性(アンチマイクロビアル・レジスタンス)
- 保健分野の緊急事態(ヘルスエマージェンシー)への対応
- ポリオ根絶に向けた取り組み
- 気候変動と健康への影響
こうした議題は、保健医療がもはや一国だけで完結せず、国際協力と長期的な資金基盤が不可欠になっている現状を映し出しています。
日本やアジアの読者にとっての意味
新型コロナの経験を経て、パンデミック協定やWHOの財政基盤づくりは、欧米や低所得国だけでなく、日本を含むアジアの国々にとっても無関係ではありません。
例えば、次のような論点は、日本社会とも深く関わります。
- 次の感染症危機で、検査やワクチンをどれだけ早く共有できるか
- 高齢化や医療人材不足が進むなかで、各国がどのように支え合うか
- 熱波や大雨など、気候変動が健康リスクをどう変えていくか
第78回WHAでの議論は、その「ルールづくり」と「資金の流れ」をどう設計するかをめぐる、静かながら重要な交渉の場だったと言えます。
SNSで押さえておきたい3つのポイント
- パンデミック協定案: 3年以上の交渉を経て草案に合意。今後の感染症対策の枠組みづくりが焦点に。
- WHOの持続可能な財政: 分担金の増額要請と、2026〜2027年予算案の見直しが議論されました。
- 中国の役割と立場: 医療支援やワクチン供給などの実績を示しつつ、台湾問題について明確な立場を表明しました。
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第78回世界保健総会のテーマである「一つの世界の健康」は、私たち一人ひとりの生活とも密接につながっています。ニュースの見出しとして流れていく前に、その背景の議論にも目を向けておきたいところです。
Reference(s):
78th WHA opens in Geneva with focus on 'One World for Health'
cgtn.com








