砂を憎まず、砂を生かす:新疆タクラマカン砂漠で進む緑化と薬草プロジェクト video poster
中国・新疆ウイグル自治区のタクラマカン砂漠の縁で、砂漠化と向き合いながら生態と経済の両立をめざす試みが続いています。キーワードは「砂を嫌わず、砂を生かす」です。
風と砂の大地・タクラマカンで続く挑戦
舞台は新疆ウイグル自治区・于田(Yutian)県。タクラマカン砂漠の周縁に位置し、強い風と細かな砂が日常の風景となっている土地です。その厳しい環境の中で、Forestry and Grassland Bureau(森林・草原局)のSecretary(書記)を務めるJia Cunpeng(ジア・ツンポン)氏は、十年以上にわたってあるプロジェクトに打ち込んできました。
彼が率いているのは、砂をならし、薬用植物を育て、砂漠化と闘いながら地域の暮らしも支える新しいモデルをつくる取り組みです。風と砂にさらされながらも、Jia氏はこの土地の未来に「希望」と「まだ眠っている宝物」を見ています。
「砂を憎まず、愛する」発想転換
Jia氏は、砂漠と向き合う姿勢についてこう語ります。"Sand is a good thing too. Don’t hate it—learn to love it."(砂も良いものだ。憎むのではなく、愛することを学ぼう)。
砂を「敵」とみなすのではなく、性質を理解し、うまく付き合いながら利用していく——。この発想の転換が、プロジェクト全体の根っこにあります。砂漠を単なる「荒れ地」として見るか、それとも新しい可能性のある「資源」と見るかで、政策もビジネスも大きく変わってきます。
砂をならし、薬用植物を育てる
Jia氏らの砂漠化対策の柱になっているのが、次のような取り組みです。
- 砂をならす:風で動きやすい砂丘をならし、地面を安定させることで、植物が根を張りやすい環境を整えます。
- 薬用植物を栽培:過酷な環境にも耐えられる薬用植物を育て、砂を固定しながら、地域の収入源にもつなげます。
- 生態と経済の両立を探る:環境を守るだけでなく、人々の生活が成り立つ仕組みをつくることを目標にしています。
砂を抑え、緑を増やし、その緑から新しい産業を生む。この循環がうまく回れば、砂漠の縁に暮らす人びとの生活は安定し、土地そのものも少しずつ変わっていきます。
「砂の下に眠る宝」を掘り起こす
風と砂にさらされる日々の中で、Jia氏が見ているのは「隠れた宝」です。それは、まだ十分に生かされていない土地の可能性であり、新しい産業や雇用のチャンスであり、そして次の世代に残せるより良い環境でもあります。
砂漠の縁を、あきらめるのではなく「変えていける場所」としてとらえること。これは、砂漠化と向き合う多くの地域に共通する重要な視点でもあります。
2025年の今、なぜ注目したいのか
ここ十年以上続く于田県の取り組みは、2025年の今も進行中です。世界各地で気候変動や土地劣化が課題となる中、「生態と経済を同時に立て直す」試みはますます重要になっています。
- 環境保全だけでなく、地域の暮らしをどう守るか。
- 従来の発想をどう転換し、新しい価値を見いだすか。
- 長い時間軸で、どこまで粘り強く取り組めるか。
Jia氏の言葉と行動は、こうした問いに対する一つの答えを示しています。
読者への小さな問いかけ
タクラマカン砂漠の縁で続くこのプロジェクトは、日本に暮らす私たちにもいくつかの示唆を与えてくれます。たとえば、次のような視点です。
- 自分の周りで「砂漠」のように見えていた場所に、実はどんな可能性が隠れているのか。
- 目の前の環境問題と、地域の経済や暮らしをどう両立させるか。
- 時間のかかる取り組みを、どのように支え、見守っていけるか。
砂を憎まず、砂と共に生きる道を探る——タクラマカンの一角で続く静かな挑戦は、2025年を生きる私たちの考え方にも、ささやかな変化を促してくれそうです。
Reference(s):
cgtn.com








