中国研究チーム、約1グラムの「電子ゴキブリ」マイクロボットを開発
中国の研究チームが、わずか約1グラムの超小型ロボット「電子ゴキブリ」を開発しました。災害現場の捜索・救助やインフラ点検への応用が期待される一方で、電源などの課題も見えてきています。
自然界のゴキブリに着想を得たマイクロボット
この「電子ゴキブリ」は、国際科学誌「Nature Communications」に最近掲載された論文で報告された、昆虫サイズのマイクロボットです。長さは約2センチ、重さは1グラム強と非常に小型で、狭い隙間に入り込み、内部を自在に動き回ることができます。
研究チームは、中国四川省成都市にある中国電子科技大学(University of Electronic Science and Technology of China)の研究者らで構成されています。
60キログラムの圧力にも耐えるタフさ
名称のとおり、このロボットの特徴は「ゴキブリ級」のしぶとさです。外部から最大60キログラムの力が加わっても損傷せず、圧力を受けてもすぐに元の形に戻ると報告されています。
論文の責任著者である呉一川准教授によると、ロボット本体には柔軟性の高い素材が使われており、その構造自体がしなやかな外骨格として働きます。外力が加わると素早く折りたたまれて重要な部品を守り、力がなくなるとすぐ元の状態に復元する仕組みです。
体長の4.8倍のスピードで走る機動力
電子ゴキブリは、機動力の面でも従来のマイクロボットを上回る性能を示しています。前進速度は1秒あたり自分の体長の4.8倍、旋回速度は1秒あたり280度に達し、小回りのきく素早い動きが可能です。
従来、このレベルの機動性を実現するには、複数の駆動装置を組み合わせた複雑な構造が必要とされてきました。しかし電子ゴキブリは、1つのアクチュエーター(駆動源)の周波数を調整するだけで、足先の動きの軌道や向き、傾きなどを柔軟に制御できる点が強みだと、同大学の彭備教授は説明しています。
陸上も水上も動ける「両生型」ロボット
電子ゴキブリは、陸上だけでなく水上でも動ける両生型のロボットでもあります。水上では4本の脚がパドルのように働き、前進を助けます。
この性質を生かせば、例えば次のような場面での活用が考えられます。
- 地震などで崩れた建物の内部を捜索する災害救助
- 狭く曲がりくねった配管の点検や補修
- 人間が立ち入れない狭所や危険区域の監視
小さくて壊れにくいロボットが多数連携して動けば、これまで人や大型機器が入れなかった場所での作業が、より安全かつ効率的になる可能性があります。
最大の弱点は「20分しか動かない」電池
一方で、実用化にはまだ課題も残っています。現在の電子ゴキブリに搭載されているリチウム電池では、連続稼働時間がおよそ20分に限られているとされています。この短さが、実際の現場での運用能力を大きく制約していると研究チームは認めています。
長時間の捜索活動や配管の遠距離点検に使うには、電池の高性能化や省エネルギーな制御方式の開発、あるいはワイヤレス給電などの新しい仕組みが必要になりそうです。
マイクロボットが開く「見えない場所」の可視化
それでも、電子ゴキブリが示した「小さくても強く、よく動く」ロボットの姿は、今後のマイクロロボット研究の方向性を象徴しているようにも見えます。
インフラの老朽化が進む中で、配管や橋梁の内部、地下空間など、人間の目が届きにくい場所をどう点検し、安全を守るかは、多くの国と地域が共通して抱える課題です。昆虫サイズのロボットがその一部を担う未来は、決して絵空事ではありません。
電子ゴキブリが実際の災害現場やインフラ管理の現場で活躍するまでには、技術的なハードルを越える時間が必要です。それでも、今回の成果は「どこまで小さく、どこまでタフなロボットが作れるのか」という問いに、1つの答えを示したと言えるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








