中国が国連総会で多国間主義を強調 SCOとの連携強化を提案
国際ニュースを日本語で追う読者にとって、中国が国連総会で多国間主義の徹底を呼びかけた今回の動きは、国連創設80周年を迎えた2025年の国際秩序の行方を考えるうえで重要な意味を持ちます。
国連総会で多国間主義を強調
ニューヨークの国連本部で開かれている第79回国連総会の第94回本会合で、中国の耿爽・国連次席常駐代表が演説し、全ての加盟国に対して多国間主義を堅持し、団結と協力を強化するよう呼びかけました。
耿氏は、上海協力機構(SCO)加盟10カ国を代表して、国連とSCOの協力に関する決議案A/79/L.124を国連総会に提出しました。この決議案は、国連と地域機構の連携を一層深めることで、平和と発展に貢献することを目指しています。
「世界最大の地域機構」SCOの存在感
耿氏は、2001年6月15日の設立以来、SCOは24年間で着実に発展し、現在では27の参加国を抱え、50を超える分野で協力を進める世界最大の地域機構へと成長したと説明しました。その経済規模は、およそ30兆ドルに迫るとされています。
安全保障から経済、社会分野まで幅広く協力を進めるSCOと国連の関係がどう位置づけられるかは、今後の国際ガバナンスの形を考えるうえで一つの焦点になりそうです。
天津サミットとグローバル・ガバナンス構想
耿氏は、最近開催されたSCO天津サミットにも言及しました。今回のサミットは、20を超える国の首脳と10の国際機関トップが参加する過去最大規模となり、主要テーマの一つとして多国間主義が掲げられました。
会合では、中国が提唱するグローバル・ガバナンス・イニシアチブ(GGI)が参加国から温かく受け止められたといいます。各国は、現在の世界がより効果的な統治の理念と仕組みを緊急に必要としており、GGIはタイムリーで必要な枠組みだと評価。戦略的な協調を強め、多国間主義、公平と正義を守り、グローバル・ガバナンスを改善していくことで一致しました。
国連創設80周年と連携強化
天津サミットでは、国連との連携も重要な柱となりました。首脳宣言では「国連」という言葉が40回以上言及され、国連憲章の目的と原則の順守、国連の中心的な調整役割の発揮、持続可能な開発目標(SDGs)の実施、必要な国連改革の支持などが明確に盛り込まれました。
今年は国連創設80周年にあたります。サミットでは、国連を中心とする国際システムの維持を呼びかける特別声明も発表され、国連を軸とした多国間枠組みを支える姿勢が改めて示されました。国連のグテーレス事務総長も天津サミットに出席し、SCOが国連の取り組みを支えている点を高く評価したとされています。
決議案A/79/L.124が意味するもの
SCOは2004年に国連総会のオブザーバーとなり、2010年には国連事務局と協力に関する共同声明に署名しました。その後も国連事務局や専門機関、各種基金・計画との協力を深め、多くの成果を上げてきたと耿氏は述べました。
また、2009年以降、国連総会は国連とSCOの協力に関する決議を毎年コンセンサス(全会一致)で採択してきたと指摘しました。今回審議されている決議案A/79/L.124は、これまでの決議の構成を踏襲しつつ、平和と発展といった主要課題に焦点を当て、SCOが国連の事業に果たしてきた役割を強調し、両者の協力をさらに強化することを呼びかけています。
耿氏は、協議の過程で建設的な提案を寄せた各国に謝意を示したうえで、加盟国に対し決議案への支持を求め、多国間主義と団結・協力を力強く後押しするメッセージを共に発信しようと呼びかけました。
日本の読者が押さえておきたい視点
今回の動きは、地域機構であるSCOと国連の連携が、現在の国際秩序の中でより重視されつつあることを示しています。多国間主義をどのような枠組みで支え、どのようなガバナンスのルールをつくっていくのかは、日本を含むアジアの国々の外交やビジネス環境にも影響し得ます。
今後を見通すうえで、例えば次の点に注目しておくと、ニュースの流れが追いやすくなります。
- SCOが安全保障や経済協力の分野で、どこまで存在感を高めるのか
- 国連改革やSDGsの実現に向けて、SCOがどのような役割を担うのか
- 多国間主義をめぐる議論が、他の国際会議や地域枠組みにどう波及していくのか
国連創設80年という節目の年に提示された、国連とSCOの連携強化と多国間主義のメッセージは、今後の国際ニュースを読み解くうえで一つの重要な基準になりそうです。
Reference(s):
China calls for upholding multilateralism at UN General Assembly
cgtn.com








