新疆タクラマカン砂漠をぐるり緑化 3,046キロの防砂帯が完成
中国の新疆ウイグル自治区で、タクラマカン砂漠をぐるりと取り囲む全長3,046キロの緑の防砂帯が整備され、砂漠化との闘いが新たな段階に入ったことが、最近公表された白書で明らかになりました。
国際ニュースとしても、日本語で環境問題を追う読者にとって、この新疆の取り組みは、砂漠化対策と脱炭素を同時に進める試みとして注目されています。
世界最長級 3,046キロの緑の防砂帯とは
白書によると、中国のタクラマカン砂漠の周縁部では、砂の移動を食い止めるための緑化帯が連続して整備され、現在は砂漠全体が長さ3,046キロの緑の帯で取り囲まれています。これは世界で最も長い防砂緑化帯とされています。
このような防砂帯は、樹木や低木、草地などを組み合わせて砂の動きを抑え、農地や集落、交通インフラを守る役割を果たします。新疆では長年にわたり、植林や灌木の帯状植栽、砂丘の固定といったプロジェクトが積み重ねられてきました。
きれいな水と緑の山は貴重な資産という考え方
白書は、新疆が「きれいな水と緑の山は貴重な資産である」という考え方を掲げていると説明しています。山や川、森林、農地、湖、草原、砂漠をひとつのシステムとしてとらえ、全体を保全しながら改善していく総合的で体系的なアプローチをとっているとしています。
これにより、単に一本一本の木を植えるだけではなく、水資源の管理や農地の利用方法、牧畜のあり方などを含めて調整し、地域全体として生態系の安定と経済発展を両立させることが目指されています。
森林とオアシスが拡大 過去数十年の変化
新疆では、大規模な緑化プログラムが計画的に進められてきました。北西部、北部、東北部を中心に防風林や防砂林のネットワークを整備した結果、森林の被覆率は2012年の4.24パーセントから、2024年には5.07パーセントまで高まったとされています。
また、過去30年間でオアシスの面積は56.6パーセント拡大しました。オアシスは、砂漠地帯において農業や居住を可能にする貴重な緑地であり、その拡大は生活と産業の基盤が強化されていることを意味します。
脱炭素と経済成長を両立するグリーン転換
白書は、新疆が砂漠化対策にとどまらず、カーボンニュートラルの実現に向けて加速している点も強調しています。地域として二酸化炭素排出量のピークアウトを目指しつつ、長期的には実質ゼロを志向しているとされています。
具体的には、国内総生産の1単位当たりの二酸化炭素排出量が着実に減少していると報告されています。これは、産業構造の高度化や省エネ技術の導入、再生可能エネルギーの活用拡大などが進んでいる可能性を示しています。
国際的な環境課題として見る新疆の取り組み
乾燥地帯の砂漠化は、中国の新疆だけでなく、世界の多くの地域が直面する課題です。砂漠が拡大すると、農業生産の低下や砂嵐の増加、住民の移住など、社会や経済にも広い影響が出ます。
そのなかで、新疆で進む大規模な緑化と脱炭素の取り組みは、アジアや世界の乾燥地域にとってもひとつの参考例となり得ます。長い時間軸で継続される政策と、自然環境の改善と経済発展をどう両立させるかという視点は、各国共通のテーマです。
このニュースから私たちが考えたいこと
今回の白書が示すポイントから、読者が考えるための視点をいくつか挙げてみます。
- 数十年単位で続く緑化プロジェクトは、どのように資金や人材を確保しているのか
- 日本やアジアの他の乾燥や半乾燥地域で、どのような形で応用できるのか
- 砂漠化対策とカーボンニュートラルの取り組みを、地域経済の成長とどのように結びつけるのか
- 環境保全を進めながら、現地の人びとの暮らしや文化をどう支えていくのか
新疆の事例は、環境と経済のバランスを模索する世界の多くの地域にとって、今後も注目すべきケーススタディとなりそうです。
Reference(s):
Xinjiang makes miracles in battle against desertification: white paper
cgtn.com








