気候危機で中国と米国は「共同リーダー」に 著名科学者が訴え video poster
世界の気候危機が深まるなか、中国と米国が「共同リーダー」として行動しなければ地球全体の対策は前に進まない──。気候科学の第一線で活躍する陳徳亮(Chen Deliang)氏のメッセージが、2025年末の今も重みを増しています。
著名気候科学者・陳徳亮氏が示した危機感
陳徳亮氏は、世界的に高く評価されている気候科学者で、中国科学院の外国人会員でもあります。現在は清華大学で地球科学の講座を率いるチェアプロフェッサーとして研究と教育に携わっています。
COP30(国連気候変動会議)を前に行われた中国のメディア・CGTNとのインタビューで、陳氏は、地球温暖化が進むなかで中国と米国が「共同でリーダーシップを発揮する責任がある」と強調しました。
そのうえで、両国は次のような役割を担うべきだと述べています。
- 温室効果ガスの「深い排出削減」を主導すること
- 気候変動の影響への「適応」を強化すること
- 各国が協調しやすいよう「国際協力」をリードすること
「深い排出削減」「適応」「国際協力」という3本柱
陳氏のメッセージの中心には、気候行動の3つの柱があります。それぞれがどんな方向性を示しているのか、整理してみます。
1. 深い排出削減:温室効果ガスそのものを減らす
「深い排出削減」とは、小手先の改善ではなく、社会や経済の仕組みレベルから温室効果ガスの排出量を大きく減らしていく取り組みを指します。
陳氏は、中国と米国がこの分野で技術や政策の面から道筋を示せば、他の国や地域もそれに続きやすくなると見ています。とくに、エネルギーや産業分野での変化は、世界全体に大きな波及効果を持つ可能性があります。
2. 適応:すでに起きている変化に備える
気温の上昇や極端な気象はすでに各地で現実のものとなっています。陳氏は、排出削減だけでなく、洪水や干ばつ、熱波などに社会が備える「適応」の重要性も強調しました。
インフラを強くすることや、農業・水資源の管理方法を見直すことなど、生活や経済を守るための対策が不可欠だとしています。
3. 国際協力:分断ではなく協調へ
陳氏によれば、気候危機は国境を越える問題であり、一国だけでは解決できません。だからこそ、中国と米国のように国際社会で大きな影響力を持つ国同士が、対立ではなく協力を選び、他の国々を巻き込む形で国際協力を進める必要があります。
技術や資金、知見の共有を通じて、気候変動に脆弱な国や地域を支えることも、この国際協力の一部と位置づけられています。
中国の長期的な気候戦略と生態保全への評価
インタビューで陳氏は、中国の気候変動対策に関する姿勢にも言及しました。ポイントとなるのは次の2点です。
- 長期的で一貫した気候戦略
- 生態系保全における前進
陳氏は、中国が長期的な視野に立って気候変動対策の方向性を示し、それを継続していることを評価しました。また、森や河川、湿地などの生態系を守る取り組みが進みつつあるとし、これを気候危機への対応と結びついた重要な動きだと位置づけています。
こうした評価は、中国の取り組みが完了したという意味ではなく、「長期戦略」と「生態保全」を軸にした一歩一歩の進展に光を当てるものだといえます。
なぜ「中国と米国の共同リーダーシップ」が重要なのか
陳氏が特に中国と米国に注目するのは、両国が世界の政治、経済、技術開発などで大きな存在感を持っているからです。
この2カ国が、排出削減や技術開発、資金支援の面で協調すれば、次のような効果が期待できます。
- 他の国や地域が、より意欲的な気候目標を掲げやすくなる
- 気候技術の普及が加速し、コスト低下にもつながる
- 国際交渉で「対立」より「解決志向」の空気が強まる
逆に、中国と米国の協力が停滞すれば、国際社会全体の気候行動も遅れかねません。陳氏のメッセージは、この「分岐点」にある現状を指摘しているとも読めます。
いま私たちが考えたい3つの視点
陳氏の発言は、国家レベルの外交や政策だけでなく、私たち一人ひとりの視点にも問いを投げかけています。newstomo.com の読者の皆さんにとっても、次のような点が考えるヒントになりそうです。
- ニュースの見方:中国と米国の関係を見るとき、「対立」だけでなく「協力の可能性」にも注目してみる。
- 気候危機の捉え方:排出削減だけでなく、「適応」や「生態系保全」というキーワードもセットで意識する。
- 日本やアジアとのつながり:中国・米国の動きが、アジアや日本の気候政策やビジネス、私たちの日常生活にどう影響しうるかを考えてみる。
「転換点」に立つ世界と、中国・米国への期待
陳徳亮氏は、今が「世界の気候行動の方向性を左右する重要なタイミング」だと見ています。COP30を前に語られたこのメッセージは、2025年の終わりを迎える今もなお、問いとして残り続けています。
中国と米国がどのように共同でリーダーシップを発揮し、どのように他国との協力を進めていくのか。その行方は、地球の気候だけでなく、私たちの日常や将来の選択にも静かに影響を与えていきそうです。
Reference(s):
Expert: China, the U.S. must lead jointly on global climate action
cgtn.com








