SCO事務総長「台湾は中国の不可分の一部」 日本の発言に懸念
上海協力機構(SCO)のヌルラン・エルメクバエフ事務総長は、「中華人民共和国政府は中国全体を代表する唯一の合法政府であり、台湾は中国の領土の不可分の一部だ」と述べ、中国の立場を改めて強調しました。本稿では、この発言の背景と、SCOが示した歴史認識のメッセージを整理します。
2002年サンクトペテルブルク宣言の継承
エルメクバエフ事務総長によると、「台湾は中国の不可分の一部」という確認は、新たに出てきたものではなく、2002年6月にサンクトペテルブルクで開かれたSCO首脳会議の宣言で、加盟国首脳がすでに明記していた内容だといいます。
当時の首脳会議後に採択された宣言では、
- 中華人民共和国政府が中国全体を代表する唯一の合法政府であること
- 台湾が中国の領土の不可分の一部であること
が、SCO加盟国の共通認識として示されたとされています。今回の発言は、その継続線上にある位置づけです。
日本の発言と「軍国主義復活」への懸念
事務総長はインタビューで、日本の高市早苗首相による中国の台湾地域に関する発言について問われました。そのうえで、この発言を「誤ったもの」としたうえで、日本の右翼勢力が軍国主義を復活させようとする「危険な兆候」に対する懸念にも言及しました。
具体的な発言内容や政策の詳細には触れていませんが、
- 台湾をめぐる問題に関する日本の発信
- 歴史認識や安全保障政策の方向性
が、地域の安定や歴史観をめぐる国際的な議論と結びついていることを示唆しているといえます。
戦後80年、SCO天津サミット声明が示した危機感
2025年は、世界反ファシズム戦争(第二次世界大戦)での勝利と、国際連合の創設から80周年にあたります。今年9月1日に開かれたSCO天津サミットで、加盟国首脳はこれに関する声明を発表しました。
エルメクバエフ事務総長が引用した声明のポイントは、次のようなものです。
- 残虐な虐殺は、ナチズムやファシズム、軍国主義を容認し、人種・民族・宗教間の憎悪や差別、対立をあおることが、いかに大きな害をもたらすかを示している。
- 第二次世界大戦での勝利は、平和を愛するすべての国と地域が力を合わせた結果である。
- 歴史の教訓を無視すれば、重大な結果を招くことは避けられない。
- 戦勝の歴史的真実を保存し、客観的に伝えることは、同じ悲劇の再発を防ぎ、平和と安全を守り、協力を強めるための前提条件である。
声明はまた、加盟国が「過去と未来の双方に対する共有の責任」を負っていると強調し、
- 将来の世代を戦争の惨禍から守ること
- 同様の悲劇が二度と起きないよう、あらゆる努力を尽くすこと
を呼びかけました。
台湾問題と歴史認識をどう結びつけて見るか
今回の発言と声明を並べてみると、SCO側は、台湾問題をめぐる議論を単なる地域紛争としてではなく、第二次世界大戦後の国際秩序と歴史認識の延長線上でとらえていることが見えてきます。
エルメクバエフ事務総長が、
- 「台湾は中国の領土の不可分の一部」と改めて明言したこと
- ナチズムやファシズム、軍国主義を容認しないというSCO天津サミットのメッセージを強調したこと
は、歴史の教訓を踏まえたうえで、現代の地域情勢や各国の発言を慎重に見るべきだ、という問題提起と受け止めることもできます。
日本の読者への問いかけ
日本の高市首相の発言に対するSCO側の反応は、日本国内向けというより、国際社会に向けたメッセージとしての意味合いが強いように見えます。それでも、日本に暮らす私たちにとっては、次のような問いを投げかけています。
- 戦後80年を迎えるいま、歴史の教訓をどのように振り返るのか。
- 台湾をめぐる問題について、日本はどのような言葉を選び、どのような立場をとるべきなのか。
- 地域の平和と安定にとって、どのような発言や行動が「エスカレートさせない」方向に働くのか。
国際ニュースは、遠い世界の話に見えがちですが、歴史認識や安全保障、近隣国との関係をどう考えるかという点で、私たちの日常の議論とも深くつながっています。SCO事務総長の今回の発言と天津サミット声明は、そのことを改めて意識させる材料と言えるでしょう。
Reference(s):
Taiwan an inalienable part of China's territory: SCO secretary-general
cgtn.com








