世界初「チャイニーズホワイトドルフィン」全国公開 6年追った“帰郷”の物語
中国の海に生きる希少な海洋哺乳類「チャイニーズホワイトドルフィン(中華白イルカ)」に焦点を当てた世界初のドキュメンタリー映画が、2025年12月12日(本日)、中国各地で公開されました。制作に6年をかけたという本作は、個体の生存と移動を描きながら、海と都市開発、そして保全の現在地を同時に映し出します。
映画「Chinese White Dolphin」とは:6年制作、82分のドキュメンタリー
映画「Chinese White Dolphin(チャイニーズホワイトドルフィン)」は、中国メディアグループ、広東ラジオ・テレビ、珠海メディアグループが共同制作しました。上映時間は82分。主人公として描かれるのは「Zhuzhu(ジュージュー)」という名のイルカで、“故郷へ帰る旅”を軸にストーリーが展開します。
「チャイニーズホワイトドルフィン」:IUCNで「Vulnerable」、推定6,000頭
チャイニーズホワイトドルフィンは、名称に「Chinese」を冠する唯一の海洋哺乳類とされています。IUCNレッドリストでは「Vulnerable(危急種)」に分類され、中国では国家一級保護動物として位置づけられています。
- 世界の推定個体数:約6,000
- 中国の海域に生息:4,500超
- うち広東–香港–Macaoグレーターベイエリア:2,000超
背景にあるのは「香港–珠海–Macao大橋」と「第15回全国運動会」
本作は、香港–珠海–Macao大橋の建設と、3地域が共同開催する第15回全国運動会を背景に据えています。海の上に巨大なインフラが伸び、地域の往来が加速する一方で、同じ海域を生息域とする生き物は何を受け、どう適応していくのか。映画は、その問いを「Zhuzhu」の旅に重ねていきます。
科学監修と国際取材:研究機関と100回超の洋上撮影
制作チームは「科学的権威」「分かりやすさ」「鮮やかな物語性」「国際的視点」を制作原則に掲げ、中国科学院や中国野生動物保護協会・水生野生動物保護分会などの機関と協力したとされています。
- 撮影地:中国の広東・広西・海南、香港、Macao
- 海外取材:米国、スウェーデン、英国、タイ
- 洋上撮影:100回超/航行距離:3,600海里超
- インタビュー:科学者21人、保全関係者17人
- 収録素材:1,000時間超
監督の言葉:「海を越え、私たちをつなぐ生命力」
監督の厳東(Yan Dong)氏は、本作が描くのはチャイニーズホワイトドルフィンの移動と生存だけではなく、海を越えて広がり、人と人の間にも作用する「生命力」だと語ったといいます。映像が届けるのは、保全のスローガンではなく、変化のただ中で生きる存在の“手触り”なのかもしれません。
都市と自然の距離が縮むほど、見えにくくなるものも増えます。だからこそ、一本のドキュメンタリーが「いま同じ海で何が起きているのか」を、静かに共有する入口になる可能性があります。
Reference(s):
First documentary on Chinese white dolphin opens across China
cgtn.com








