世界初、超臨界CO₂による廃棄熱発電が実用化。中国本土でプラントが全稼働
工業地帯で大量に排出され、これまで捨てられていた「熱」。この未利用エネルギーを効率的に電力へと変換する革新的な技術が、ついに商業規模で実現しました。
「Carbon One」プロジェクトの全稼働へ
中国本土の貴州省六盤水市にある首鋼水城(Shougang Shuicheng)製鉄所で、超臨界二酸化炭素(sCO₂)廃棄熱発電プロジェクト「Carbon One」の第2ユニットが、2026年5月30日(土)に送電を開始しました。これにより、世界初の商用規模における超臨界CO₂廃棄熱発電の実証が完了したことになります。
このプロジェクトの概要は以下の通りです。
- 総発電容量: 30メガワット(15MWユニット × 2基)
- 開発主体: 中国国家核電工業集団(CNNC)核電研究院、集鋼国際、首鋼水城
- 運用状況: 第1ユニットは2025年12月20日に商業運転を開始し、5か月以上にわたって設計仕様を上回る安定した性能を維持しています。
超臨界CO₂発電とは? 従来の蒸気タービンとの違い
一般的な発電プラントでは、水を沸騰させて得られる「蒸気」をタービンに送り込んで発電しますが、今回のプロジェクトでは「超臨界状態のCO₂」を作動流体として使用しています。
超臨界状態とは:
特定の温度と圧力を超えた物質が、液体のような密度と気体のような拡散性を同時に持つ状態のことです。この状態のCO₂を用いることで、以下のようなメリットが生まれます。
- 高い熱効率: 従来の蒸気サイクルよりも熱効率を高めることができ、より少ない熱量で多くの電力を得られます。
- 廃棄熱の有効活用: 製鉄業などの重工業で排出される高温の排熱を効率よく回収し、大気へ放出する前に電力として再利用できます。
原子力研究から産業利用への転用
この技術のベースとなったのは、次世代原子炉の作動流体として研究されていた原子力発電の知見です。CNNC核電研究院が、原子力分野で培った超臨界CO₂の制御技術を産業廃棄熱の回収に応用することで、今回の実用化に至りました。
鉄鋼業のようなエネルギー消費の激しい産業において、排熱を効率的に電力へ戻す仕組みは、コスト削減だけでなく、環境負荷の低減という大きな意味を持ちます。一つの分野で生まれた研究成果が、全く異なる産業の課題解決につながるという、技術転用の好例といえるかもしれません。
Reference(s):
World's 1st supercritical CO₂ waste heat plant fully online in China
cgtn.com



