中国の貿易黒字、2025年に初の1兆ドル超 輸出多様化と輸入拡大が同時進行
2025年、中国のモノ(財)の貿易黒字が初めて1兆ドルを超えました。米中の関税交渉が約1年にわたり続く中でも、輸出先の分散と輸入の増加が同時に進み、対外取引の底堅さが数字に表れた形です。
11カ月累計の貿易総額は3.6%増、4,121兆元に
中国税関総署(GAC)が今週公表したデータによると、2025年1〜11月の中国の貿易(モノの貿易)総額は前年同期比3.6%増の41.21兆元(約5.83兆ドル)でした。黒字は年初からの累計で世界向けに1兆ドルを上回ったとされています。
貿易相手はASEANが首位、EUが続く 米国向けは減少
相手先別では、ASEANが最大の貿易相手となりました。1〜11月の双方向貿易は前年同期比8.5%増の6.82兆元で、総貿易に占める比率は16.6%です。
- ASEAN:6.82兆元(+8.5%、構成比16.6%)
- EU:5.37兆元(+5.4%)
- 米国:3.69兆元(-16.9%)
全体が増える一方で米国向けが落ち込んでいる点は、貿易の「行き先」が複数化している状況を映しています。
なぜ今、黒字が膨らんだのか:輸出の多様化と“値下がり輸入”
専門家は、今回のデータが中国の対外貿易の競争力と回復力を示していると見ています。背景として、大きく2つの動きが指摘されています。
1)輸出は「先端製造」と「分散」で下支え
中国国際経済交流センターの研究者・張モーナン氏は、中国が世界最大級の貿易・製造大国であり、産業構造の厚みとサプライチェーン(供給網)が複雑な国際環境下での耐性を支えていると述べました。加えて、保護主義や貿易摩擦が続く中で、取引構造を調整し、多様化を進めてきた点も強調されています。
実際、ASEANやEUとの取引増が全体を押し上げ、相手先の偏りを和らげる役割を果たしています。モルガン・スタンレーのエコノミストは、先端製造での優位性を背景に、2030年までに中国の世界のモノ輸出シェアが約15%から16.5%へ高まるとの見通しも示しています。
2)AI投資の波と輸出品目の伸び:半導体・自動車が増加
東方金誠のシニアアナリスト、馮林氏は、2025年に世界的にAI投資が増えたことと、中国の製造業の転換・高度化の成果が、輸出の伸びにつながったと指摘します。税関データでは、1〜11月の輸出で次の伸びが目立ちます。
- 集積回路(IC):1.29兆元(+25.6%)
- 自動車:8,969.1億元(+17.6%)
3)輸入は増えても「価格低下」で支払い増が抑えられ、黒字を押し上げ
黒字拡大のもう一つの要因として、主要輸入品の価格下落が挙げられます。中国招商証券の分析(張晶晶アナリスト)では、2025年に原油や石炭などの国際価格が下がったことで、輸入量が増えても輸入額の伸びが相対的に鈍り、結果として黒字が広がりやすくなったとされています。
例として、1〜11月の鉄鉱石は輸入量が11.39億トン(+1.4%)と増えた一方、平均価格は9.4%下落しました。
交渉が長期化する中で見える「貿易の形」の変化
米中の関税交渉が長期化する環境下でも、ASEANやEUとの取引拡大、先端分野の輸出増、そして資源価格の変化が重なり、2025年の貿易黒字は大きく積み上がりました。輸出の強さだけでなく、相手先・品目・価格という複数の要素が同時に動いている点が、今回のデータの読みどころになりそうです。
Reference(s):
China's $1 trln+ trade surplus: Diversified exports, expanding imports
cgtn.com








