グローバルサウスとエネルギー転換 国境を越える協力のいま video poster
エネルギー転換の主役として存在感を増すグローバルサウス。その可能性と課題が、今週北京で開かれた2025 International Energy Executive Forumで改めて浮き彫りになりました。アフリカやアジアの専門家が語ったのは、資源の豊かさと「電気が届かない現実」が同時に存在するという矛盾です。
北京で開かれた国際エネルギーフォーラム
2025 International Energy Executive Forumは、12月11日から12日にかけて北京で開催され、世界のエネルギー業界や政策の関係者が集まりました。テーマの一つは、グローバルサウス諸国がどのようにエネルギー転換を進め、協力を深めていくかという点でした。
フォーラムの期間中、CGTNはグローバルサウスのエネルギー協力に詳しい専門家にインタビューを行い、その中でアフリカとアジアを軸にした南南協力の可能性が語られました。国際ニュースとしても、エネルギーと開発をめぐる新しい流れを映し出す場になったと言えます。
アフリカに残る「エネルギーアクセスギャップ」
ケニアに拠点を置くシンクタンク、Africa Policy Instituteの代表であるピーター・ムワンギ・カグワンジャ氏は、アフリカの現状を次のように指摘しました。大陸には豊富なエネルギー資源がある一方で、多くの地域でいまだ深刻なエネルギーアクセスギャップが続いているという点です。
アフリカは太陽光や風力、水力など再生可能エネルギーの潜在力が高いとされる一方、送電網などインフラの整備や投資が追いつかず、家庭や中小企業まで安定した電力が届いていない地域も少なくありません。カグワンジャ氏は、そうした現状にもかかわらず、アフリカが世界的な再生可能エネルギーシフトの最前線の一つになりつつあると指摘しました。
資源があるのに電気が使えない――。このギャップをどう埋めるかは、気候変動対策だけでなく、産業発展や教育、デジタル化にも直結する問題です。エネルギー転換は単なる「発電方式の変更」ではなく、社会全体の構造を変えていくプロセスであることが、アフリカの事例から見えてきます。
資源と需要の両方を抱えるグローバルサウス
北京大学・南南協力発展学院でグローバル・パートナーシップ部門のディレクターを務める周永梅(Zhou Yongmei)氏は、グローバルサウス全体の視点からエネルギー転換の構図を語りました。グローバルサウスは、世界でも重要なエネルギー資源保有地であると同時に、今後エネルギー需要が大きく伸びる地域でもあるという指摘です。
周氏は、こうした状況のなかで、中国の再生可能エネルギー分野の能力が、グローバルサウスに対して手頃な価格のソリューションを提供し得ると述べました。太陽光パネルや風力発電設備などの技術・製品、そしてそれを支えるサプライチェーンやプロジェクト運営のノウハウが、エネルギーアクセスの改善に役立つという見方です。
資源を持つ国と技術を持つ国が協力し、需要が急増する地域のエネルギーをどう賄うか。グローバルサウスのエネルギー協力は、単なる輸出入の関係を超えて、「共同でインフラを築く」という段階に入りつつあるようにも見えます。
国境を越えるエネルギー協力は何を生むか
今回のフォーラムが示したのは、エネルギー転換が一国だけでは完結しないという現実です。電力網やパイプラインは国境をまたぎ、技術や人材も行き来します。そこで問われるのが、「協力の設計図」をどう描くかという点です。
- 技術協力:再生可能エネルギーの設備や運用ノウハウを共有し、現地の条件に合わせてカスタマイズすること。
- 資金とリスクの分担:長期の投資が必要なエネルギーインフラに対し、公的機関や民間セクターがどのように役割を分担するか。
- 人材育成と制度づくり:技術者や政策担当者の育成を通じて、プロジェクトを自立的に運営できる体制を整えること。
こうした協力の形が整えば、エネルギー転換は単に発電容量を増やすだけでなく、新たな産業や雇用を生み、地域全体のレジリエンス(回復力)を高める可能性があります。
静かに問われる「南南協力」のかたち
グローバルサウスとエネルギー転換をめぐる議論は、対立や競争ではなく、「どう協力すれば互いに得をするか」という問いに近づきつつあります。アフリカのエネルギーアクセスギャップと、グローバルサウスの資源・需要・技術の組み合わせ。その交差点に、南南協力の新しいかたちが見え始めています。
北京での2025 International Energy Executive Forumは、その一端を切り取った場でした。今後、どの地域がどのようなパートナーと組み、どのような条件でエネルギー転換を進めていくのか。今回示された視点は、これからの国際ニュースを読み解くうえで、一つの基準点になりそうです。
Reference(s):
Global South and energy transition: cooperation beyond borders
cgtn.com