中国研究チーム、経口薬VV116がニパウイルス抑制を示す—2026年1月の再流行で注目
致死率が最大70%に達するとされるニパウイルスについて、中国の研究チームが「既存の経口抗ウイルス薬が有望な抑制効果を示した」とする研究結果を発表し、2026年1月にインド東部で再流行が報じられる中で注目が集まっています。
何が分かった?:VV116がニパウイルスを強く抑える可能性
国際学術誌「Emerging Microbes & Infections」に最近掲載された研究によると、経口核酸系薬(ヌクレオシド薬)「VV116」が、実験室レベルでニパウイルスの増殖を大きく抑え、動物試験で生存率の改善も示しました。論文タイトルは「The oral nucleoside drug VV116 is a promising candidate for treating Nipah virus infection」です。
ポイント(研究が示したこと)
- VV116が、ニパウイルスの主要2系統(マレーシア型NiV-M、より病原性が高いとされるバングラデシュ型NiV-B)を抑制
- 動物モデル(ゴールデンハムスター)で、致死的感染条件下でも一定の生存率を確認
- 肺・脾臓・脳など重要臓器のウイルス量が大幅に低下
VV116とは:COVID-19治療で承認済みの「飲み薬」
VV116は、COVID-19治療薬として中国とウズベキスタンで承認済みとされる経口抗ウイルス薬です。研究では、VV116と、その体内で活性化される代謝物の両方がニパウイルスに対して強い阻害効果を示したと報告されています。
仕組み:ウイルスの複製装置(RdRp)を狙う
VV116は「プロドラッグ(体内で活性型に変わる薬)」として、ウイルスが増えるのに必須の酵素「RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)」を標的にするとされます。RdRpは“ウイルスのコピー機”のような役割を担うため、ここを止めることで感染サイクルを分子レベルで断つ、という考え方です。
動物試験の結果:生存率66.7%、臓器のウイルス量も低下
研究では、ゴールデンハムスターの致死的感染モデルで、体重1kgあたり400mgを経口投与した群の生存率が66.7%だったとされています。また、肺、脾臓、脳といった臓器のウイルス量が大きく減ったとも報告されました。
なぜ今この話題?:2023〜2026年の流行増と、今月の西ベンガル再流行
ニパウイルスは、1998年のマレーシアでの初期流行以降、致死率が40〜70%とされる深刻な人獣共通感染症です。入力情報によれば、2023年から2026年にかけてインドとバングラデシュで流行が頻発し、地理的な広がりも懸念されてきました。
そして2026年1月、インドの西ベンガル州で再流行が発生し、死亡者が出たほか、保健当局が濃厚接触者約100人を隔離したとされています。世界保健機関(WHO)も地域的な重要脅威として位置づける中、治療の選択肢づくりが急務になっています。
研究体制:中国の研究機関が中心に共同実施
研究は、中国科学院の武漢ウイルス研究所のチームが主導し、上海薬物研究所や企業研究チームも加わった共同研究とされています。今回の成果は、既存薬の“転用”という現実的なアプローチで、対策の時間軸を短縮しうる点が関心を呼びます。
今後の焦点:「有望」から「使える」へ、何が必要か
研究者や専門家は、VV116がすでにCOVID-19向けに人での使用実績・承認があることから、ニパウイルス流行時の開発を加速できる可能性に言及しています。一方で、実際の流行地での有効性や投与タイミング、重症例への効果、安全性、耐性リスクなど、詰めるべき論点は残ります。
治療だけでなく「予防的な使い方」も議論に
論文では、治療薬としてだけでなく、医療従事者や検査・研究従事者、流行地域の住民など高リスク層への予防的投与(暴露前・暴露後予防)という使い方も視野に入ると示唆されています。感染が疑われた段階で“広げないために何ができるか”という現場の問いに、薬が一つの選択肢を与える形です。
致死率が高く、ワクチンや特異的治療薬が「現在承認されていない」とされるニパウイルスに対し、既存の経口薬が突破口になりうるのか。2026年に入って流行情報が動く中、研究の次のステップが注目されます。
Reference(s):
cgtn.com








