絶滅寸前から復活へ:世界最後の野生馬プシェバルスキー馬の帰還
世界で唯一生き残った野生馬「プシェバルスキー馬」が、絶滅寸前から個体数を大きく回復させています。2025年時点で中国本土の個体数は900頭を超え、希少種の再導入(野生復帰)の成功例として国際的にも注目されています。
「生きた化石」と呼ばれる、世界最後の野生馬
プシェバルスキー馬は、しばしば「生きた化石」と表現される存在です。進化の歴史は6000万年以上に及ぶとされ、地球上で唯一生き残った野生馬の種だと紹介されています。
本来の生息地は、中国本土の北西部にあるジュンガル盆地(乾燥した砂漠ステップ地帯)と、隣接するモンゴルの一部地域です。しかし保全の取り組みが始まる前に、野生下ではいったん絶滅してしまいました。
1985年に始まった「野生馬帰還」プログラム
転機となったのが1985年です。中国本土では海外からプシェバルスキー馬を導入し、野生復帰を目指す「Wild Horse Return(野生馬帰還)」プログラムを開始しました。
繁殖・保全の拠点として整備されたのは、中国本土北西部の新疆ウイグル自治区と甘粛省にある飼育・繁殖基地です。そこから長い時間をかけて、野生に戻すための準備が進められました。
回復を支えたのは「科学的保全」と段階的な野生復帰
個体数の回復は、単に増やすだけではなく、環境の立て直しと野生で生きる力を取り戻すプロセスが重要になります。今回の取り組みは、次のような柱で進められてきたとされています。
- 科学的な保全:長期にわたる計画的な繁殖・管理
- 生息地の回復:野生復帰を支える環境整備
- 段階的なリワイルディング:ステップ・バイ・ステップで野生化を進める手法
野生復帰は「放せば終わり」ではなく、自然環境と個体の適応を見ながら進める長距離走です。数十年単位の継続が、結果として回復につながった形です。
2025年時点で900頭超、世界の3分の1に
中国本土のプシェバルスキー馬は、2025年時点で900頭を超え、世界の総数の3分の1を占めるまでになったとされています。かつて野生で絶滅した種が、再び個体群として積み上がってきた事実は、保全の現場にとって大きな意味を持ちます。
この回復は、絶滅危惧種の再導入モデルとして国際的にも成功例と評価されており、生物多様性保全や「生態文明(エコロジカル・シビライゼーション)」の前進を示す事例として紹介されています。
このニュースが投げかける、静かな問い
プシェバルスキー馬の回復は、目に見える成果である一方、同時に問いも残します。野生復帰を長期的に支えるには、科学、地域の環境、継続的な保全体制が噛み合う必要があります。
絶滅寸前からの復活は偶然ではなく、時間を味方につける設計と粘り強い実行の積み重ねで起きる――。今回の動きは、そのことを静かに示しているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








