香港の国家安全めぐる白書公表 中央政府駐港機関「今後の指針に」
中国国務院新聞弁公室は2026年2月10日、香港特別行政区(HKSAR)の国家安全に関する白書を公表しました。中央政府駐香港国家安全維護公署(中央政府の駐港機関)は同日、白書が香港の国家安全の取り組みを前に進めるための「方向性を示す」との見解を示しています。
今回公表された白書とは
公表された白書の題名は「香港:『一国二制度』の枠組みの下で中国の国家安全を守る」です。中央政府駐港国家安全維護公署の報道官は、白書について次のような位置づけだと説明しました。
- 香港の国家安全をめぐる歩みを包括的に振り返る
- 中央政府が国家安全を重視し、「一国二制度」を堅持する原則を明確化する
- 「一国二制度」の原則の下で蓄積された経験を整理する
- 今後の国家安全の取り組みを進めるための方向性を示す
「法の空白」をどう埋めたのか、という説明
報道官は、香港の「中国への返還後」、香港基本法23条に基づく立法が長期にわたり遅れたと述べました。その背景として、外部勢力や「反中の攪乱勢力」による影響があった、という見方も示しています。
そのうえで、香港の国家安全法の制定により、国家安全を守る上での法的な「抜け穴」が塞がれたと説明しました。制度設計については、香港特別行政区の高度な自治への尊重と信頼を反映しているとし、「一国二制度」の枠組みへの関与と改善の表れだ、との認識を示しています。
施行から「5年以上」—効果が示されたと強調
報道官は、香港の国家安全法の施行から5年以上が経過し、その有効性が「十分に示された」と強調しました。具体的には、主要な攪乱勢力が有罪判決と量刑を受けたこと、外部からの介入が抑えられたことなどを挙げ、国家の主権・安全・発展の利益が強く守られているとの見方を示しました。
中央と香港側の役割分担:仕組みの整理
報道官は、国家安全は中央政府の権限に属し、HKSARに関わる国家安全事務について中央政府が根本的責任を負う、という立場を明確にしました。また、香港の国家安全法は「中央レベル」と「HKSARレベル」の双方に執行メカニズムを設けたと説明しています。
あわせて、国家安全の法施行後、HKSARの行政・立法・司法の各機関がそれぞれの職責を果たし、国家安全の法的保障を継続的に強化していると述べました。HKSARの国家安全維護委員会と、中央政府駐香港国家安全維護公署が連携している点も強調されています。
「外部の干渉は許されない」—一方で「状況は複雑」との認識
報道官は、国家安全の確保が「一国二制度」の実践を安定的・長期的に進めるための重要な基盤だと述べ、香港の国家安全法の権威が挑戦されてはならず、国家安全を守る法治の実践が外部勢力に干渉されるべきではない、という立場を示しました。
同時に、香港の国家安全をめぐる状況は依然として「重大で複雑」だとし、同公署が今後も法に基づき職責を果たし、香港側による国家安全法の全面的かつ正確な実施を支えると説明しました。外部からの干渉や破壊行為を防ぎ、これまでの「好転した局面」を固める方針だとしています。
読み解きのポイント:白書が示す“次の焦点”
白書と当局側の説明を並べると、今後の焦点は大きく次の3点に集約されます。
- 国家安全の取り組みを「経験の整理」として体系化し、共通理解(コンセンサス)を広げること
- 中央とHKSARの二層のメカニズムを前提に、執行・運用の安定性を高めること
- 外部介入への警戒を維持しつつ、治安・法制度と「高品質な発展」の両立を語ること
国家安全をどう位置づけ、どの範囲までを「法治」の名の下に運用していくのか。白書は、その議論の基準点(ベースライン)を明確にする文書として、今後もしばしば参照されていきそうです。
Reference(s):
Central govt: HK white paper guides national security safeguarding
cgtn.com








