春節映画が旅のきっかけに 中国本土で「映画ロケ地観光」が加速
2026年の春節(旧正月)シーズン、中国本土では「映画を観る」体験が「現地を歩く」旅へと広がり、休暇の過ごし方そのものを変えつつあります。
映画の熱気が“移動”につながる春節、今年は何が違う?
今年(2026年)は、春節の映画シーズンが過去最長となったうえ、「2026年 映画経済促進年」の始動も重なり、映画館の盛り上がりが観光・外食・イベントへ波及しているといいます。いわゆる“フィルムツーリズム(映画をきっかけにロケ地などを訪ねる旅行)”が、春節の大型連休で一気に目に見える形になりました。
「チケットが通行証に」──映画消費が“休暇消費”へ拡張
北京電影学院の孫彦彬(Sun Yanbin)准教授は、映画を起点にした周辺消費が拡大していると指摘します。映画の鑑賞が単体で終わらず、休暇の支出全体に組み込まれている、という見立てです。
実際、春節中は次のような取り組みが組み合わさりやすく、映画と観光が相互に後押しする構図が生まれています。
- 映画をテーマにしたフェアやポップアップ型の催し
- 作品の舞台を巡る観光ルートづくり
- 映画に寄せたグルメ(飲食)企画
- 無形文化遺産(伝統技術・芸能など)の展示や体験企画
注目事例:映画が照らした雲南の村、来訪者が増加
『Panda Plan: The Magical Tribe』が映した翁丁村(雲南省)
家族向け映画『Panda Plan: The Magical Tribe』は、中国本土南西部・雲南省の滄源県にある翁丁村(Wengding Village)を舞台の一つとして描きます。霧に包まれた山並み、原生林、古い崖画(がいが:断崖の壁画)などがスクリーンに映し出され、ワ族(Wa)の集落として400年以上の歴史を持つ景観と文化が印象的に紹介されました。
記事の情報によれば、こうした“映像での露出”が短期間で実際の人の流れにつながり、現地の来訪者増加が起きているといいます。物語を追体験したい観客が、休暇の移動先としてロケ地を選ぶ──「観る」から「入り込む」への変化が、象徴的に表れた形です。
盛り上がりの裏側:地域にとってのチャンスと、静かな課題
映画が地域の魅力を伝え、観光の入口を増やすことは、地元の交通・飲食・宿泊など幅広い分野に波及しやすい一方、急な人出は運営面の負荷にもなります。たとえば、混雑による体験の質の低下、景観・文化資源の保全、受け入れ体制(案内・導線・ルールづくり)などは、人気化するほど丁寧さが問われます。
春節は“実験場”になりやすい季節です。短期間に需要が集中するからこそ、映画と観光がうまく噛み合うと経済効果は大きく、噛み合わないと現場の負担が表に出やすい。2026年の動きは、その両面を映す出来事として注目されています。
これからの焦点:映画産業は「観客の次の行動」まで設計するのか
映画の話題がSNSで広がり、ロケ地情報や“聖地巡礼”の動線が共有される時代、作品の余韻は上映後も続きます。2026年の春節は、映画が休日の意思決定(どこへ行き、何を食べ、何を体験するか)にまで影響し得ることを、よりはっきり示したシーズンになりそうです。
映画館の外へと伸びる熱気を、地域がどう受け止め、文化と観光のバランスをどう整えるのか。春節の喧騒が落ち着いた後も、各地の取り組みが静かに試されます。
Reference(s):
From watching to walking: Movie landscapes fuel holiday tourism
cgtn.com








