中国本土・河北省正定県「四塔」の景観を守る修復——“古きを旧に復す”の現場 video poster
2026年2月現在、中国本土の河北省・正定県では、歴史的な塔(いわゆる「四塔」)がつくる街のシルエットを将来へ引き継ぐため、保存と修復の取り組みが続いています。ポイントは、建物を“新しく見せる”のではなく、「修復は元の姿に沿って行う(いわゆる“古きを旧に復す”)」という考え方にあります。
上空からでも分かる「四塔」がつくる、街の背骨
正定県の特徴は、平地に立つ塔が遠くからでも視認でき、街並みの“骨格”として機能している点です。塔は単体の文化財としてだけでなく、互いの位置関係や周囲の建物の高さ、見通し(視界の抜け)と一体になって、歴史の時間を感じさせる景観を形づくっています。
「修復=刷新」ではない。“元の姿に沿う”という選択
保存作業で重視されるのは、過度な改変を避け、歴史的な外観や素材感、比例(バランス)を崩さないことです。現代の技術が使われる場面があっても、目指すのは「新築のように整える」ことではなく、時間の蓄積が読める状態で残すことだといえます。
景観を守るうえで焦点になりやすい点
- 見え方:遠景・中景・近景で塔がどう見えるか
- 周辺との調和:塔の存在感を損なわない建物の高さや配置
- 連続性:一つの塔ではなく「複数の塔が並ぶ歴史の読みやすさ」
文化遺産は「過去の展示」ではなく、現在の感覚を静かに変える
歴史・文化遺産は、過去を説明するだけの記念物ではありません。日常の風景の中に“過去が見える”状態が保たれると、住民や訪れる人は、土地の成り立ちや文化の層を体感として理解しやすくなります。正定県の例は、遺産が封印されるのではなく、目に見える場所で人びとの現在の感覚に作用し、未来の選択にも影響を与える——そんな関係を示しています。
なぜいま、このニュースが注目されるのか
都市の更新が速い時代ほど、「何を残し、どこまで手を入れるか」という判断は難しくなります。正定県の“歴史的スカイラインを守る”という発想は、文化財の保存を「点」ではなく「面(景観)」で捉える動きとして、静かな示唆を含んでいます。
塔が立ち続けることは、単に古い建物が残るという意味にとどまりません。過去が視界に入り続ける街では、人は自分の立ち位置を少しだけ長い時間軸で考えるようになる——正定県の空の輪郭は、そのことを物語っているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








