蚊が「天然忌避剤」を避ける鍵受容体を特定、次世代の蚊対策へ
蚊が“ある天然の忌避(きひ)成分”をにおいで見分けて避ける――その行動を支える重要な嗅覚受容体(におい受容体)を、国際研究チームが特定しました。ヘブライ大学(エルサレム)は2026年2月24日(火)、この成果がより効果的で環境負荷の小さい蚊のコントロール手法につながる可能性があると発表しています。
何が分かったのか:「避ける行動」を動かす受容体
発表によると、研究チームは蚊が特定の天然忌避成分を検知し、「近づかない」という回避行動を取る際に、カギとなる臭気(におい)受容体が働くことを突き止めました。蚊の嗅覚は、宿主(人や動物)を探すだけでなく、危険や不快な環境を避ける判断にも使われます。今回のポイントは、その“避ける側”のスイッチに当たる分子機構が、より具体的に見えてきた点です。
なぜ今重要?「効く忌避剤」の設計が変わる可能性
蚊対策は、感染症予防や生活の快適さに直結します。一方で、従来の対策は「どの成分が効くか」を経験則で積み上げてきた側面もありました。受容体という“標的”が特定されると、次のようにアプローチが整理しやすくなります。
- 狙いを定めた忌避成分の開発:その受容体を強く刺激する(=蚊がより確実に避ける)分子を探しやすくなる
- 少量で効く設計:効き方が分かれば、必要量や配合の最適化につながる可能性
- 環境への配慮:天然由来の候補を含め、用途に応じた選択肢を広げられる余地
「天然=安全」ではない、それでも“精密化”が意味を持つ
天然由来の成分であっても、濃度や使い方、曝露(ばくろ)の状況によっては刺激や影響が出ることがあります。そのため、重要なのは「天然かどうか」そのものよりも、蚊の嗅覚メカニズムに合わせて、効果と使用量を合理的に設計できるかという点です。受容体が特定されると、候補成分を“当てずっぽう”で試すのではなく、狙った作用点に基づいて評価しやすくなります。
今後の焦点:実用化までに何が必要か
今回の発表は、基礎研究としての大きな前進を示します。実際の蚊対策として広く使える形にするには、例えば次の論点が残ります。
- 対象となる蚊の種類の幅:受容体の働きが種によってどの程度共通か
- 屋外・屋内での持続性:気温や風、汗など現実環境での効き方
- 人・ペット・生態系への影響評価:長期使用を想定した安全性と運用設計
蚊は「見えないリスク」と「日常の不快」を同時に運んできます。におい受容体という微細な入口を押さえる研究は、派手さはなくても、対策の精度を一段上げる土台になりそうです。
Reference(s):
Study identifies mosquito receptor that drives repellent avoidance
cgtn.com







