中国本土AI産業、2025年産出額1.2兆元に—6200社超とロボット300種の現在地
中国本土のAI(人工知能)産業の産出額が、2025年に1.2兆元(約1657.8億ドル)に達しました。製造業での導入が進み、オープンソースの大型モデルやヒューマノイド(人型)ロボットの動きも加速している点が、いま注目されています。
発表のポイント:1.2兆元、企業6200社超
中国工業・情報化部(MIIT)の李楽成部長は、きょう2026年3月5日(木)、記者団の質問に答える場(「Ministers' Corridor(閣僚通路)」と呼ばれる取材エリア)で、次のように説明しました。
- 2025年の中国本土AI産業の産出額:1.2兆元
- AI分野で事業を行う企業:6200社超
製造業の現場で進むAI導入—「3割が活用」
李部長によると、AIは中国本土の幅広い産業に「深く統合」されつつあり、製造業企業の3割超がAIアプリケーションを導入しているといいます。品質検査の自動化、設備の予知保全、需要予測など、いわゆる“現場の意思決定”にAIが入り込む局面が増えやすいことが背景にあります。
オープンソース大型モデルと「ダウンロード世界1位」
もう一つの焦点が、オープンソース(設計やプログラムを公開し、改良・再利用しやすい形)の大型モデルです。李部長は、中国本土のオープンソース大型モデルが昨年、ダウンロード数で世界1位だったと述べ、AI技術へのアクセスを高めたと位置づけました。
オープンソースは、開発スピードを上げやすい一方で、活用範囲が広いからこそ、運用ルールや安全対策の設計が同時に問われやすい領域でもあります。
ヒューマノイド300種超—世界の「半分以上」を占めた年
さらに「エンボディド・インテリジェンス(身体性を伴う知能)」の進展として、2025年に中国本土企業が300種類を超えるヒューマノイドを発表し、世界全体の半分以上を占めたという説明もありました。
数の多さは、研究開発の裾野の広さを示す一方で、今後は「量から質へ」——耐久性、保守、価格、部品供給、現場実装(工場・物流・介護など)での安全性といった競争に移っていく可能性があります。
今後の焦点:AIパソコン、AIスマホ、スマート家電
李部長は見通しとして、消費者の「より良い生活の質」への需要を背景に、世界水準のスマート製品を増やす方針を示しました。例として挙げたのは、次の分野です。
- AIパソコン
- AI携帯電話(AIスマホ)
- スマート家電
次世代AIの開発領域:BCI、自動運転、ロボティクス
あわせて、次世代AI製品として、ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI:脳と機械をつなぐ技術)、自動運転車、ロボティクスの開発を進める考えを示しました。実装先としては、農業機械や医療機器など、社会インフラに近い領域でスマート技術の利用を広げるとしています。
製造業の規模感:2025年の工業付加価値は41.7兆元
AIの話題と並行して、李部長は製造業全体についても言及しました。2025年の中国本土の工業付加価値は41.7兆元に達し、経済成長への寄与は35%だったと説明しています。製造業の厚みが、AIの「学習・検証・導入」のサイクルを回しやすくする土台になっている、という見方も成り立ちます。
新エネルギー車は11年連続で世界首位、航空宇宙設備も伸長
このほか、新エネルギー車(NEV)の生産・販売が11年連続で世界首位だったこと、航空宇宙設備など新興分野への投資が2桁成長だったことも紹介されました。AIの普及は、こうした産業群の設計・製造・運用の最適化と結びつきやすく、政策面でも一体として語られやすいテーマです。
静かな論点:普及の速さが生む「標準」と「信頼」
2025年の数値が示すのは、規模拡大だけではありません。AI搭載製品が日常に入ってくるほど、データの扱い、説明可能性(なぜその判断に至ったか)、安全性、責任分界といった“信頼の設計”が、産業競争力の一部になっていきます。どの領域で、どのルールが先に社会実装されるのか——2026年は、その輪郭がいっそう見えやすい年になりそうです。
Reference(s):
MIIT minister: Value of China's AI industry hit 1.2 tln yuan in 2025
cgtn.com








