ヘランマウンテンの岩絵、1万年の遺産をデジタル保存で未来へ video poster
4月18日は国際モニュメント・サイトの日でした。中国本土・寧夏(ニンシア)回族自治区にあるヘランマウンテンでは、1万年近く前から刻まれてきた岩絵のギャラリーが、科学的な保護と積極的な保存活動によって新たな命を吹き込まれています。なぜ今、この遠い過去のメッセージが重要なのか。それは、デジタル技術を駆使した保存が、気候変動や自然劣化から人類の共通遺産を守る、現代的なモデルを示しているからです。
1万年にわたる文明の交差点
銀川平原の西側に250キロメートルにわたって連なるヘランマウンテン。その岩壁には、3,000年から1万年も前に刻まれた2万点以上の岩絵(ペトログリフ)が残されています。人間の顔、動物のトーテム、狩猟や牧畜の様子、謎めいたシンボルなど、100種類以上の図像が点在し、中国北部における遊牧文明と農耕文明の交流を物語る貴重な「石の史料」となっています。
- 時間のスケール:最古のものは約1万年前にさかのぼり、長い人類史を刻んでいます。
- 多様なモチーフ:当時の人々の世界観、信仰、日常生活を垣間見せます。
- 地理的重要性:歴史的にさまざまな文化が行き交った要衝に位置しています。
風化との戦いから「予防的保護」へ
こうした貴重な岩絵は、長年にわたる自然の風化や雨水による浸食にさらされてきました。寧夏の関係当局は、この課題に立ち向かうため、系統的な保護活動を続けてきました。
具体的な取り組みには次のようなものがあります。
- 技術研究と強化工事:岩盤の強化や耐候性保護プロジェクトを実施。
- 総合調査の実施:全ての岩絵の所在と状態を再評価・記録。
- デジタル技術の導入:ドローンや3Dスキャンを用いた正確な位置測定、高精細な記録、そして永久に残るデジタルアーカイブの作成。
かつては損傷が進んでから修復する「救済保存」が中心でした。しかし現在では、デジタルアーカイブを基盤とした「予防的保護」へと重点が移行しつつあります。劣化の兆候を早期に発見し、未然に対処する新しい保存の形です。
未来へ継ぐ「完全なデジタルアーカイブ」
2026年現在、ヘランマウンテンの岩絵群は「完全なデジタルアーカイブ」が構築される段階にあります。このアーカイブは、単なるバックアップではなく、研究や教育、さらにはバーチャル体験にも活用できる基盤となるでしょう。
デジタル化は、物理的なアクセスが難しい場所にある文化遺産を、世界中の人々と共有する道も開きます。岩絵に刻まれた古代の物語は、テクノロジーの力によって、次の1万年へと受け継がれようとしているのです。
国際モニュメント・サイトの日を機に、私たちは過去から受け継がれた遺産をどのように未来へと橋渡しするのか。ヘランマウンテンの取り組みは、その一つの答えを静かに示しているように思えます。
Reference(s):
cgtn.com








