世界初、1万800台積載の自動車運搬船を中国が引き渡し
中国の造船業界が、世界で初めて1万台を超える自動車を運べる大型専用船を完成させ、先週引き渡しました。これは、海上輸送における大容量化と環境対策の両方を実現した「中国発」の最新技術として注目されています。
「海上の立体駐車場」、その仕組み
船の名前は「Glovis Leader」。中国本土の広州市にある中国船舶集団(CSSC)傘下の広州造船国際公司(GSI)が、韓国の海運会社HMM向けに建造しました。全長230メートル、幅40メートルという巨大な船体に14層のデッキを持ち、最大で10,800台の自動車(乗用車換算)を一度に積むことができます。
最大の特徴は、その柔軟な積載能力です。電気自動車(EV)や水素燃料車、大型トラックなど、多様な車両を組み合わせて輸送できる設計になっています。まさに「海上を走る立体駐車場」と言えるでしょう。
環境性能を両立させた「中国ソリューション」
この船が「グリーンな突破」と呼ばれる理由は、その推進システムにあります。主機関として液化天然ガス(LNG)と燃料油のデュアルフューエル方式を採用し、国際海事機関(IMO)の最も厳しい「Tier III」排出基準をクリアしています。
- 航行中にも発電できる「永久磁石軸発電機」を搭載し、エネルギー消費を大幅に削減。
- 船体の形状を最適化した「省エネ船型」。
- エンジンの排熱を回収して再利用する「廃熱回収システム」。
- 港湾停泊時に陸上電源を使用できる「高圧岸壁給電システム」。
これらの技術を組み合わせることで、高いエネルギー効率を実現しています。また、航行状況や機関、積荷の状態を常時監視する「スマート船舶管理システム」も装備し、安全性の向上にも貢献しています。
急成長する中国の自動車運搬船建造
GSIは現在、自動車運搬船の受注を40隻以上抱えており、今回を含め合計26隻を引き渡しました。内訳は、7,000台積載船が19隻、8,600台積載船が6隻、そして今回の10,800台積載船1隻です。これらは世界の自動車貿易に、合計で20万台近い輸送能力を提供したことになります。
同社の建造スピードも注目に値します。昨年2025年に引き渡した11隻の船は、平均で契約納期より151日も早く完成し、うち1隻は驚くべき229日も前倒しで竣工しました。この高い効率性が評価され、GSIは現在、2030年まで埋まった建造スケジュールと、総額約1兆円(約138億米ドル)にのぼる受注を獲得しています。その9割以上が海外の顧客からの発注です。
世界のサプライチェーンにおいて、自動車の海上輸送は欠かせないインフラです。より多く、より環境に優しく運ぶことを求める世界的な需要に応え、中国の造船業界が最先端のソリューションを示したと言えるでしょう。このような大型かつスマートな専用船の登場は、物流の効率化のみならず、国際的な環境規制に対応する船隊の更新という流れを、静かに後押ししていくかもしれません。
Reference(s):
China delivers world's first ship that carries 10,800 cars at one time
cgtn.com



