中国本土が「都市更新計画(2026-2030)」を発表。拡大から「質」への転換で生活はどう変わる?
中国本土で、都市開発のあり方が大きな転換点を迎えています。これまで数十年にわたり、急速な都市化と大規模な建設による成長を続けてきましたが、現在は「新しく造る」ことから「今あるものを再生させる」方向へと舵を切っています。
こうした背景の中、5月28日に「第15次5カ年計画(2026-2030年)」に向けた都市更新計画が発表されました。この計画は、住民の生活水準を向上させると同時に、新たな投資機会や経済活動を創出することを目的としています。具体的にどのような変化が期待されているのか、3つの視点から解説します。
1. 老朽化した住宅のアップデート
今回の計画で特に注目されるのが、築20年以上の住宅コミュニティに対する重点的な整備です。生活の質を直接的に向上させ、住宅需要を刺激することが狙いとなっています。
- インフラの刷新: 状況に応じてエレベーターを設置し、上下水道や電力パイプラインの更新、道路の補修、駐車場の整備、セキュリティ施設の改善などが行われます。
- 大規模な改修目標: 約11万5,000の古い都市住宅コミュニティと、約4,000の「城中村(都市の中の村)」の改修が見込まれています。
例えば上海市徐匯区では、老朽化した住宅の改修に合わせ、行政が既存住宅を買い上げるパイロットプログラムが始まっています。買い上げられた住宅の一部は、労働者向けの低価格な賃貸住宅へと転換される予定で、住環境の改善と住宅ニーズへの対応を同時に進める新しいアプローチとして注目されています。
2. 「心地よい都市」への進化
単なる建物の修理にとどまらず、都市全体の安全性と快適性を高める取り組みも強化されます。
安全性とレジリエンスの向上
危険な住宅の解消や老朽ビルの補強が進められ、地震などの災害に対する耐性が高められます。具体的には、約50万戸の老朽住宅が改修され、36万5,000キロメートルに及ぶ地下管路が更新される計画です。これにより、断水やガス漏れ、都市型洪水などのリスクを軽減します。
生活の質を高める空間づくり
住民がより自然に触れられるよう、2万ヘクタールの公園や緑地整備が進められます。河南省鄭州市では、かつての工場跡地を「二沙文化創造園」という公園・文化施設へと転換した事例があり、産業遺産を活かしながら市民の憩いの場として再生させています。
また、日常生活の利便性を高めるため、以下の取り組みも盛り込まれました。
- 「15分生活圏」の整備: 食料品店、保育・介護施設、フィットネス施設などが徒歩15分圏内で完結するコミュニティづくり。
- ユニバーサルデザインの推進: 高齢者、子ども、障がいを持つ人々にとって障壁のない(バリアフリーな)コミュニティの構築。
3. 経済への波及効果と投資機会
この都市更新の動きは、単なる社会福祉的な側面だけでなく、巨大な経済市場を生み出す可能性を秘めています。建設資材である鋼材の需要増に加え、住宅設備や家電製品への支出増加が期待されています。
中国の格付け機関である鵬元信用評級(Pengyuan Credit Rating)の分析によると、第15次5カ年計画期間における都市更新市場は、合計で約20兆元(約2.8兆ドル)に達すると予測されています。その内訳として、古い住宅コミュニティの改修だけで8兆元を超え、地下管路のアップグレードには約4兆元が投じられる見通しです。特に、更新される管路の30%にスマートシステムが導入される計画となっており、テック産業への波及も期待されます。
Reference(s):
What's new in China's newly released urban renewal plan (2026-2030)?
cgtn.com



