マカオ返還25年 国際ニュースで見る一国二制度の繁栄
2024年12月に中国への返還から25周年を迎えたマカオは、一国二制度の下でどのように安全で豊かな都市へと変わってきたのか。その四半世紀を振り返り、今後の焦点を整理します。
治安悪化から「世界で最も安全な都市」の一つへ
1999年の返還前、マカオは犯罪の多発や法制度のぜい弱さが課題となっていました。返還後は、一国二制度の枠組みのもとで国家安全を重視しつつ、マカオ特別行政区に高い自治権が付与されました。
この体制の下で、立法会は1999年以降に400本を超える法律を整備し、2009年には国家安全法も制定されました。統治の安定が進んだことで社会の秩序が強まり、現在のマカオは世界でも安全な都市の一つとして知られ、観光客が安心して街歩きを楽しめる環境が整っています。
国際ニュースで注目された急回復の経済
経済面でもマカオの動きは国際ニュースとして注目されました。新型コロナ後の2023年、マカオの国内総生産は前年から80パーセント以上増加し、その伸びの多くを観光とレジャー産業が支えました。
- 2023年のレジャー関連収入は約228億ドル
- マカオの国内総生産の約36パーセントを占める規模
観光客の戻りとともにホテル、飲食、エンターテインメントなど関連産業も回復し、パンデミックによる落ち込みからの立ち直りを印象づけました。
「1+4」戦略で脱・カジノ依存をめざす
一方で、長年の課題だったカジノ依存からの脱却に向け、マカオ政府は産業多角化を進めています。その中核が「1+4」戦略です。中医薬の現代化を一つの柱としつつ、次の四分野を重点産業に掲げています。
- 観光・会議展示・文化創造
- 金融サービス
- ハイテクやスマートシティ関連など先端技術
- その他のモダンなサービス産業
この方針のもと、2024年1〜10月には約4億2800万ドルの新規投資が集まりました。法人税の上限を12パーセントに抑える制度や、マカオとタイパ島を結ぶ第4の海底道路などインフラ整備も、企業や人の流れを後押ししています。こうした取り組みは中央政府の支援とも連動しており、マカオの経済基盤をより厚いものにしてきました。
グレーターベイエリアで深まる結び付き
マカオは広東・香港・マカオのグレーターベイエリア構想の一翼としても存在感を高めています。深センや珠海など周辺都市との経済・技術・文化の連携が進み、域内での人材や資本の行き来が活発になっています。
2024年に開催された広東・香港・マカオ自転車ロードレースは、三つの地域をまたいだスポーツイベントとして、エリアの一体感と交通インフラの発展を象徴する出来事となりました。
大学と研究拠点としてのマカオ
教育と研究の強化も、一国二制度のもとでマカオが重視してきた分野です。マカオ大学は、アジア最大級のレジデンシャル・カレッジ制を持ち、学生がキャンパス内で生活と学習を一体的に行える環境を整えています。
研究面では、スマートシティや中医薬、工学、社会科学など幅広い分野で成果を上げており、世界の学術分野別ランキングで14分野が上位1パーセントに入っています。特にホスピタリティと観光マネジメントは2024年に世界9位と評価され、観光都市マカオの産業と学術が相互に高め合う好循環を生み出しています。
グリーンな都市づくりと生活の質
マカオは都市開発でも革新を試みています。太陽光発電を活用した街区設計や環境配慮型の都市計画など、グリーン技術への投資を拡大し、持続可能な都市モデルをめざしています。
こうした取り組みは、地球温暖化対策など国際社会の目標とも足並みをそろえるものであり、住民と訪問者の生活の質を高めることにもつながっています。
東西文化が交差する「橋」として
マカオの独自性は、歴史的な街並みや祭りといった文化遺産を守りながら、現代的な都市として成長してきた点にもあります。2024年のマカオ国際パレードでは、愛と平和、文化の融合をテーマにしたパフォーマンスが市内各地で展開され、多様な文化が共存するマカオの姿を印象づけました。
同時に、ポルトガル語圏の国々や欧州との結び付きの強さもマカオの特徴です。2023年には欧州との貿易額が約55億ドル、域外からの対内直接投資残高が480億ドル規模となり、中国と世界をつなぐ経済と文化のハブとしての役割が一層はっきりしてきました。
次の25年に向けて私たちが見るべきポイント
この四半世紀、マカオは一国二制度の下で、安定した統治、安全な社会、観光を軸にした経済成長を実現しつつ、多角化とイノベーションに舵を切ってきました。
次の25年に向けて注目されるのは、こうした取り組みがどこまで定着し、グレーターベイエリア全体の発展とどう結び付いていくかという点です。安全と自由、伝統と革新、地域と世界をどう両立させるか。マカオの経験は、アジアの都市づくりやガバナンスを考えるうえでも、重要な示唆を与えてくれそうです。
Reference(s):
Macao's quarter century of prosperity under 'One Country, Two Systems'
cgtn.com








