国際ニュース:中国とEUが主導するエネルギー転換 揺れる米国後の気候リーダーシップ
2025年も終わりに近づくいま、国際ニュースの大きなテーマのひとつが、中国とEUがどこまで世界のエネルギー転換と気候変動対策をリードできるかという点です。アメリカがパリ協定から繰り返し離脱するなか、その空白をどう埋めるかが問われています。
オバマ・習近平会談から始まった「気候外交」の流れ
パリ気候協定が採択される少し前、中国の習近平国家主席と当時のオバマ米大統領は北京で、気候変動に関する歴史的な共同声明を発表しました。両国がパリでの合意成功に向けて協力する姿勢を示し、多国間の気候外交に新しい時代が開かれたと評価されました。
2016年には、杭州でのG20サミット直前に、中国と米国がそろってパリ協定を正式に批准しました。オバマ氏は「中国や米国のような国がリーダーシップを示せば、私たちに残された世界よりも安全で、豊かで、自由な世界をつくることができる」と語り、期待が高まりました。
米国の相次ぐ離脱で生まれたリーダーシップの空白
しかし、この前例のない協調の後まもなく、トランプ政権は最初のパリ協定離脱に踏み切りました。各国の指導者からは「科学を否定し、多国間主義に背を向ける行為だ」と批判する声も上がりました。
その後、ワシントンは再びパリ協定から離脱し、幅広い多国間主義は再度揺らいでいます。結果として、気候変動分野でのリーダーシップを、中国とEUといった他の大国が担う必要性が一段と強まっています。
フランス閣僚の北京訪問が映す「中欧連携」の可能性
こうしたなか、EUは新たな気候パートナーを模索しており、フランスのエコロジー移行大臣アニエス・パニエ=ルナシェ氏が最近北京を訪れました。同氏は、中国とEUの間に、パリ協定や多国間主義への「コミットメント」など、いくつもの「収斂点」があると指摘しました。
「科学が疑われ、気候の撹乱の影響までもが争点にされる時代に、EUと中国がそれぞれの責任を果たすことが重要だ」とのメッセージは、2025年の気候ガバナンスを考えるうえで象徴的です。
パニエ=ルナシェ氏は、中国の「ダイナミズム(活力)」と再生可能エネルギー技術における「素早さ」を高く評価し、各国がそこから学ぶべきだと述べました。アメリカが約束から後退し続けるなかで、中国はEUにとって貴重な気候パートナーになり得るという見方が強まっています。
数字で見る中国の再生可能エネルギー拡大
中国はグリーン技術のリーダーとして、クリーンエネルギーへの移行を通じて世界の二酸化炭素排出削減を後押しできる存在になっています。その姿は、2024年の統計にも表れています。
国際再生可能エネルギー機関によると、2024年に世界で新たに追加された発電容量のうち、92.5%が再生可能エネルギーでした。その合計は585ギガワットに達し、このうち中国が占めたのは373.6ギガワット、全体の約64%です。
中国が特に大きな役割を果たした分野は次の通りです。
- 太陽光発電
- 風力発電
- バイオエネルギー
- 水力発電
この規模の投資と導入スピードは、世界のエネルギーシステムを化石燃料から切り替えるうえで決定的な意味を持ちます。
中国とEUが主導するグローバルなエネルギー転換
中国とEUが連携して世界のエネルギー転換を主導するためには、少なくとも次の三つの柱が重要になりそうです。
- 技術協力の強化:中国の大規模な製造・導入能力と、EUの研究開発や制度設計の経験を組み合わせれば、再生可能エネルギーや省エネ技術のコスト低減と普及をさらに加速できます。
- グリーン投資の拡大:クリーンエネルギーや送電網、蓄電システムへの投資を、中国とEUが協調して拡大すれば、新興国や途上国でも持続可能なインフラ整備が進みます。
- 国際ルールづくりへの共同発信:排出量取引やカーボン・フットプリント(製品の温室効果ガス排出量)の基準などで、中国とEUが歩調を合わせれば、世界のルール形成に大きな影響力を持つことができます。
日本とアジアにとっての意味
newstomo.comの主な読者である日本やアジアのビジネス関係者にとっても、中国とEUの動きは無関係ではありません。再生可能エネルギーや省エネ技術のコストや標準が変われば、日本企業のサプライチェーンや輸出競争力にも直接影響が及びます。
また、中国とEUがクリーン技術で協力を深めれば、アジア各国でもグリーン投資プロジェクトが増え、エネルギー安全保障や雇用の面で新たな機会が生まれる可能性があります。
これから注目したいポイント
2026年以降を見据えると、次のような点が国際ニュースとしての重要な観察ポイントになりそうです。
- EUがどの程度まで、中国との気候協力を戦略の中心に据えるのか
- 再生可能エネルギーのサプライチェーンをめぐり、競争と協力のバランスをどう取るのか
- 国連などの多国間の場で、中国とEUが気候リーダーシップをどのように示すのか
アメリカの姿勢が不透明ななか、中国とEUが築くパートナーシップは、今後の気候変動対策とエネルギー転換の方向性を左右する重要な要素になっています。2025年のいま、この動きを早めに理解しておくことが、これからの国際ビジネスや政策議論を読み解く鍵になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








