中国第15次五カ年計画が示す農村振興と食料安全保障
第15次五カ年計画案が示す農村振興の青写真
2026〜2030年を対象とする中国の第15次五カ年計画の策定に向けて、中共中央が勧告を採択しました。新しい計画案は、経済・社会の中長期的な発展方針を示すとともに、農業や農村、農村の住民の発展を優先し、農村振興と食料安全保障を中核に据えていることが特徴です。
1950年代から続く五カ年計画の最新バージョンとなる第15次計画は、新しい発展理念を全面的に実行し、新たな発展パラダイムの形成を加速する戦略文書として位置づけられています。現在、2026年から始まる次期計画期間に向けた「設計図」が少しずつ見えてきた段階です。
2026〜2030年:中国の中長期戦略と農村の位置づけ
勧告によれば、中国は次の五年間も農業と農村、農村に暮らす人びとの発展を優先し、あらゆる面での農村振興を推進していく方針です。農業の近代化をおおむね実現し、農村における生活の基礎条件を現代的な水準に引き上げることがねらいとされています。
こうした取り組みは、2035年ごろまでに社会主義現代化を基本的に実現するという長期目標に向けた土台づくりでもあります。都市と農村の格差をどう縮め、成長の果実をどう分かち合うのかが、今後数十年の中国の持続可能な発展にとって重要なテーマになっています。
貧困脱却から農村振興へ:成果をどう定着させるか
中国の農村振興戦略は、2017年に打ち出されました。それまでの貧困削減キャンペーンによって、2020年までに8億人を超える人びとが貧困から抜け出したとされていますが、農村振興はその成果を土台に、次の段階へ進むための政策パッケージです。
その背景には、人を中心に据えた発展理念があります。都市と農村の住民のあいだで、近代化の利益を継続的かつ公平に分配する仕組みを整えることがめざされています。同時に、大規模な貧困への逆戻りを防ぐ「底線」を守り続けることも強調されています。
勧告では、低所得層や発展の遅れた地域への支援策の強化も示されています。具体的には、次のような方向性が打ち出されています。
- 農村住民がどこに移り住んでも利用できる社会保険制度を整備し、安全網として機能させること
- 教育や医療、インフラなど農村の公共サービスを拡充し、生活の質を高めること
- 企業の高度化による生産性向上の成果が賃金として労働者にも還元されるような仕組みを構築すること
とくに発展の遅れている農村地域については、外からの支援に依存するだけでなく、住民自身の内発的な意欲や能力を引き出すことに焦点を当てた、きめ細かな政策支援が行われるとされています。
国家の食料安全保障を支える農業の高度化
中国は世界の耕地の約9パーセント、水資源の約6パーセントしか持たない一方で、世界人口の5分の1の食を支えているとされます。所得向上に伴う穀物需要の増加に対し、耕地や水資源の制約、異常気象の頻発など供給面の制約が重なり、食料安全保障は一人ひとりの生活に直結する差し迫った課題になっています。
こうした中で、中国は自国の食料供給を自らの手でしっかりと握り続けるため、国家の食料安全保障の基盤をさらに強化するとしています。その柱の一つが、耕地面積と土壌の質の双方を守る厳格な保護策です。土地利用の規制や監視を強めることで、農地の無秩序な転用を防ぐねらいがあります。
もう一つの柱が、地域の実情に合わせて農業の新たな質の高い生産力を育成することです。生産効率や灌漑技術、作物品種などでブレークスルーを図り、先端技術を取り入れた効率的で高収量の生産モデルを広げていくことが想定されています。
あわせて、穀物を含む重要農産物の総合的な生産能力を高めつつ、食料の供給源を多様化し、穀物や食品の無駄を減らすことも重要な課題として掲げられています。
この動きを日本語で追う意味
農村振興と食料安全保障は、中国国内の課題であると同時に、世界の持続可能な発展や食料市場にも影響を与えうるテーマです。世界人口の大きな割合を占める中国がどのように農村政策と農業の近代化を進めるのかは、国際ニュースとしても注目されています。
2026年から本格的に始まる第15次五カ年計画の内容が具体化していく過程を追うことは、都市と農村の格差、社会保障のあり方、気候変動下での食料生産といった課題を、自分たちの社会とも重ね合わせて考えるきっかけにもなります。今後も関連する動きを、日本語で分かりやすく整理してお伝えしていきます。
Reference(s):
Recommendations for 15th FYP cast vision for rural revitalization
cgtn.com








