F1カナダGPでラッセル今季初優勝 マクラーレン同士討ちで波乱
F1カナダGPでラッセル今季初優勝
F1世界選手権の今季第10戦となるカナダGP決勝が、現地日曜にモントリオールのジル・ビルヌーブ・サーキットで行われ、メルセデスのジョージ・ラッセルが今季初優勝を飾りました。これはラッセルにとって通算4勝目で、レースは終盤のセーフティカー導入の中でチェッカーを迎えました。
ディフェンディングウイナーのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)との接戦を制し、メルセデスのルーキー、キミ・アントネッリも3位に入り、チームにとって久々のダブル表彰台となりました。一方で、マクラーレン勢は終盤の同士討ちにより表彰台を逃し、タイトル争いにも微妙な影響が出ています。
ポールから主導権 ラッセルが「勝利を取り返す」
ラッセルは昨年に続きカナダで2年連続ポールポジションを獲得し、そのアドバンテージを活かしてレースの大半をリードしました。クーラーコンディション(気温の低い状況)でメルセデスのマシンが強さを見せ、後方から迫るフェルスタッペンを抑え切りました。
ラッセルはレース後、トップ表彰台に戻った喜びをこう語っています。
「トップステップに戻れて素晴らしい気分です。昨年は勝てたレースを落とした感覚があったので、こうして勝利をつかめたこと、そしてチームメイトのキミが一緒に表彰台に立ってくれたことは本当に特別です。クーラーコンディションではマシンの強さが示されたので、これからのレースが楽しみです」
これで今季の優勝ドライバーは、オスカー・ピアストリ、ランド・ノリス、フェルスタッペンに続き4人目。勢力図が固定化しがちな近年のF1において、今季は上位チーム間の拮抗がより鮮明になっています。
フェルスタッペンは2位に満足「今日はこれが精一杯」
4年連続王者のフェルスタッペンは、序盤から中盤の2スティントでタイヤに苦しみながらも、最後のスティントでペースを持ち直し2位を確保しました。
「最初の2スティントではタイヤにかなり苦しみましたが、最終スティントでは何とか踏ん張ることができました。今日はこれが最大限の結果だったと思います」とフェルスタッペンは振り返っています。
またフェルスタッペンは、ドライバーズライセンス上のペナルティーポイントが一時的に高止まりしており、一定期間を過ぎるとポイントが消滅して出場停止のリスクが減る状況にあります。今回の堅実な2位は、タイトル争いだけでなくリスク管理の面でも意味のある結果と言えます。
18歳アントネッリ、F1初表彰台 メルセデス復調の象徴に
メルセデスのルーキー、キミ・アントネッリは3位に入り、自身初のF1表彰台を獲得しました。終盤には背後のマクラーレンから激しいプレッシャーを受けましたが、落ち着いた走りでポジションを守り切りました。
チーム代表のトト・ウォルフは、レース運びを高く評価しています。
「本当に良い一日でした。今日は完全に実力で勝ち取った勝利です。レース全体をコントロールできましたし、ジョージは完璧なドライビングを見せてくれました。キミもマクラーレンが背後に迫る中で決して崩れませんでした。優勝に加えて2台が表彰台に上るのは久しぶりで、ガレージ中が喜びに包まれています」
ここ数年苦戦が続いていたメルセデスにとって、ラッセルの優勝とアントネッリの初表彰台は、開発の方向性が正しく機能し始めていることを示すサインと見ることができます。
マクラーレン同士の激突でセーフティカー決着
レース終盤、ドラマの主役となったのはマクラーレンの2台でした。残り4周となる70周中の67周目、5番手を走るノリスが、前を行くピアストリを何度も攻め立てる展開に。順位が確定しつつあったレースの中で、チームメイト同士のバトルが突如ヒートアップしました。
最終的にノリスはピアストリに接触し、その反動でウォールにヒット。マシンは大きなダメージを負い、レースはセーフティカー導入のまま終盤数周を消化することになりました。
レース後、ノリスにはピアストリとの接触に対する5秒加算ペナルティが科され、本人も責任を認めています。ピアストリは4位でフィニッシュしたものの、開幕第2戦から続いていた8戦連続表彰台の記録はここで途切れました。チームとしても今季初めて表彰台を逃す結果となり、タイトルを争う立場としては痛いレースになりました。
ポイントリーダーはピアストリ しかし情勢は接戦
今季ここまでのF1ドライバーズ選手権では、マクラーレンのピアストリが一歩抜け出してきました。カナダGP前の時点で、ピアストリはチームメイトのノリスに対して10ポイントのリードを築いていましたが、今回の結果でその差は22ポイントへと拡大しました。
一方、フェルスタッペンは選手権3位につけており、ノリスとは21ポイント差。上位3人のポイント差は決して決定的ではなく、シーズン全24戦の中でまだ折り返しにも届いていないことを考えれば、ここからの流れ次第で順位は大きく入れ替わる可能性があります。
現在の上位争いを整理すると、次のような構図が見えてきます。
- ピアストリ:安定した表彰台フィニッシュでポイントリーダーを維持
- ノリス:速さは十分ながら、今回の接触などミスが痛手に
- フェルスタッペン:コンディション次第で依然として勝利候補
- ラッセルとメルセデス:復調気配を見せ、今後のダークホースに
なぜこのカナダGPが重要なのか
今回のカナダGPは、単なる1戦の結果にとどまらず、今季のF1の物語を形づくるいくつかのポイントを示しました。
- メルセデスの復調が本物かどうかを占う試金石となったこと
- マクラーレンがチームとして、ドライバー同士の「自由なバトル」と「タイトル獲得の現実的な戦略」をどう両立させるのかという課題が浮き彫りになったこと
- ポイントリーダーのピアストリに対し、ライバル勢が取りこぼしを重ねていること
特にSNS上でも議論を呼びそうなのは、マクラーレンが終盤のチームメイト同士のバトルをどこまで許容すべきだったのか、という点です。ファンが見たいのは全開のレースでありつつも、チームとしてはポイントの取りこぼしを避けたい。このジレンマは、今後のレース戦略やチームオーダーの在り方にも影響を与えるかもしれません。
シーズンはまだ3分の1を少し超えたところ。カナダで勢いをつかんだラッセルとメルセデス、安定感で先行するピアストリ、巻き返しを狙うノリスとフェルスタッペン。今後の各地でのグランプリが、どのように勢力図とポイント争いを塗り替えていくのか注目されます。
Reference(s):
Russell holds off Verstappen for Canadian GP win as McLarens collide
cgtn.com








