世界水泳2025:男子10m高飛び込みで豪州ルソーが金、中国は1986年以来の表彰台逃し
シンガポールで開催中の2025年世界水泳選手権(World Aquatics Championships)の飛び込み最終日、男子10メートル高飛び込み決勝でオーストラリアのキャシエル・ルソー(Cassiel Rousseau)選手が金メダルを獲得しました。一方、中国代表は1986年以来初めてこの種目で表彰台を逃し、世界飛び込み界の勢力図に小さくない変化を印象づける結果となりました。
世界水泳2025・男子10m高飛び込みの結果
日曜日に行われた男子10メートル高飛び込み決勝は、世界のトップダイバーが集う注目の一戦となりました。ルソー選手は最終ラウンドでビッグダイブを決め、合計得点でライバルたちを突き放しました。
- 金メダル:キャシエル・ルソー(オーストラリア) 534.80点
- 銀メダル:オレクシー・セレダ(Oleksii Sereda) 515.20点
- 銅メダル:ランダル・ウィラルス・バルデス(Randal Willars Valdez、メキシコ) 511.95点
- 4位:朱子峰(Zhu Zifeng、中国)
- 5位:趙仁杰(Zhao Renjie、中国)※14歳で世界選手権初出場
ルソー、最終ラウンドの99.90点で2度目の世界王者に
ルソー選手は、2023年の福岡大会でも男子10メートル高飛び込みを制しており、今大会のシンガポールでも再び頂点に立ちました。決勝では6本の演技の最後となる第6ラウンドで、この日最高となる99.90点をマークし、合計534.80点で2度目の世界タイトルを手にしています。
試合後、ルソー選手は「1位でなければ意味がない。本当に最高の気分です」と語り、続けて「飛び込みは、その日ごとに状況が大きく変わる競技。だからこそ好きなんです。その日の6本をどれだけ安定してまとめられるかがすべて。もし明日もう一度同じメンバーで飛んだら、表彰台の顔ぶれはまったく違っていたかもしれない」とコメントしました。
「6本すべてで勝負する」メンタルの強さ
この発言が示しているのは、飛び込み競技が単なる一発勝負ではなく、「6本の合計」で決まる持久戦だという点です。難度の高い技に挑みながらも、全ラウンドで大きなミスをしない安定感が求められます。
ルソー選手は、最高得点となる演技を最後に持ってくるだけでなく、それまでの5本も大きな乱れなくまとめることで、最終ラウンドに余裕と勢いを持って臨んだことがうかがえます。プレッシャーのかかる場面で自己ベストに近い演技を出せるメンタルの強さが、連覇につながったと言えそうです。
セレダが銀、メキシコ勢も表彰台に
銀メダルを獲得したのは、前回ドーハ大会で銅メダルだったオレクシー・セレダ選手です。今大会では合計515.20点を記録し、一段階ステップアップして2位に食い込みました。
銅メダルはメキシコのランダル・ウィラルス・バルデス選手。511.95点と僅差の争いを制し、ラテンアメリカ勢として表彰台に上がりました。オーストラリア、セレダ、メキシコと、異なる地域の選手がメダルを分け合う結果となり、世界飛び込みの裾野の広がりを示す形にもなっています。
中国代表は4位と5位に 1986年以来の表彰台逃し
中国からは朱子峰選手と、14歳の趙仁杰選手が決勝に進出しました。朱選手が4位、趙選手が5位と、いずれも表彰台にはあと一歩届きませんでしたが、ハイレベルな決勝で安定した演技を見せ、存在感を示しました。
この結果は、世界水泳の男子10メートル高飛び込みにおいて、1986年以来初めて中国が表彰台を逃したことを意味します。長年にわたりこの種目でメダルを獲得し続けてきた中国代表にとって、節目となる大会と言えます。
さらに、シンガポールで行われたオリンピック種目の飛び込み競技としては、男子3メートル板飛び込みに続いて、中国が金メダルを逃した2種目目となりました。とはいえ、14歳の趙選手が世界の大舞台を経験したことは、中国代表にとって将来へ向けた大きな財産になりそうです。
オーストラリア飛び込み陣の好調ぶり
ルソー選手は、今大会の混合3メートルシンクロでもマディソン・キーニー(Maddison Keeney)選手とのペアで銀メダルを獲得しています。男子10メートル高飛び込みの金メダルと合わせると、ルソー選手個人としても非常に充実した大会となりました。
大会全体で見ると、オーストラリアは飛び込み競技で金2・銀1という結果を残し、飛び込みのメダルランキングで2位に入りました。
- 男子10メートル高飛び込み:金(ルソー)
- 混合3メートルシンクロ:銀(ルソー/キーニー組)
- その他の種目:金1(合計で金2・銀1)
一大会で複数種目に絡む選手が出てきていることは、その国の競技基盤が整ってきているサインでもあります。オーストラリアは、男女・個人・シンクロを通じてバランスよく得点源を増やしている印象で、今後の国際大会でも存在感を高めていきそうです。
変化する世界飛び込み界と、これからの見どころ
今大会の男子10メートル高飛び込みでは、以下のようなポイントが浮かび上がりました。
- 1986年以来続いてきた中国のメダル獲得記録が途切れたこと
- オーストラリアが複数種目でメダルを獲得し、メダルランキング2位となったこと
- セレダ選手やウィラルス・バルデス選手など、複数の国から若い実力者が台頭していること
- 14歳の趙選手をはじめ、次世代を担う選手がすでに世界の舞台に立っていること
一つの国が長くトップを走り続けることで競技のレベルが押し上げられ、その挑戦者として他国の選手が育っていく——今回の結果は、そうした良い意味での競争の循環を映し出しているようにも見えます。
中国代表にとっては悔しい結果かもしれませんが、若手の成長や新たな組み合わせを試すきっかけにもなり得ます。また、オーストラリアやメキシコ、欧州勢などが表彰台に絡むことで、観る側にとっても「誰が勝っても不思議ではない」緊張感のある大会が増えていきそうです。
2025年12月現在、世界水泳シンガポール大会の飛び込み競技は幕を閉じましたが、ここで生まれた経験や課題は、今後の世界選手権やオリンピックにつながっていきます。次の大舞台で、今回名前を聞いた選手たちがどんな演技を見せてくれるのか。世界飛び込み界の動きを、今後も追いかけていきたいところです。
Reference(s):
Australia's Rousseau wins men's 10m platform, China misses podium
cgtn.com








