UTMBで姚妙が逆転優勝 山村から世界へ走る中国トレイルランナー
UTMB OCCで姚妙が逆転優勝、中国トレイルランニングの新章
フランス・アルプスの谷で8月28日に行われたトレイルランニングのレース「UTMB OCC」(約55キロ)で、中国の姚妙(ヤオ・ミャオ)選手が繰り上がり優勝を果たしました。山村出身のランナーが、世界最高峰の舞台でつかんだタイトルは、中国のトレイルランニング史に新たな1ページを刻んでいます。
8月28日は2位、10日後に女王へと「昇格」
レース当日、姚妙選手は55キロの険しいコースを走り抜き、ゴールした順位は2位でした。1位でフィニッシュしたのはケニアのジョイリン・チェプゲノ選手。しかし10日後、ドーピング違反によりチェプゲノ選手が失格となり、Athletics Integrity Unitの裁定によって姚妙選手が正式な優勝者となりました。
この結果により、姚妙選手はモンブランの麓で大会2連覇を達成しました。さらに、2018年のUTMB CCC(約100キロのカテゴリー)での優勝と合わせて、UTMBの異なる種目で3つのタイトルを持つ初のアジア人アスリート(男女を問わず)となりました。
貴州の山から「走り出た」28歳のランナー
28歳の姚妙選手は、中国・貴州省の山あいで育ちました。かつては「山のある田舎の生活から抜け出したい」と夢見ていましたが、今やその険しい地形こそが、彼女の人生を形づくり、頂点に押し上げた存在になっています。
当初は陸上競技のトラック種目で道を切り開こうとしましたが、プロへの入口となる省の代表チーム入りには届きませんでした。そこで出会ったのがトレイルランニングです。山道を駆ける競技に転向すると、国内レースで次々と結果を残し、「中国トレイルランニングの女王」と呼ばれる存在にまで駆け上がりました。
2019年の故障とマラソン転向、そして原点回帰
順風満帆に見えたキャリアにも、2019年に試練が訪れます。けがや体調不良に悩まされ、トレイルから一時的に距離を置かざるを得なくなりました。その間、彼女はロードのマラソンに挑戦し、競技人生の新たな可能性を探りました。
それでも、山を駆ける感覚への愛着は消えませんでした。最終的に姚妙選手はトレイルランニングに戻る道を選びます。かつて「抜け出したい」と思っていた山々を、今度は自らの意志で選び直したことになります。
科学的トレーニングで「勝利」と「楽しさ」を両立
現在の姚妙選手には、科学的なトレーニング方法に精通したチームがついています。無理を重ねて心身を追い込み続けるのではなく、健康的に長く走り続けるためのアプローチへとシフトしました。
かつての彼女は、誰よりも強い「勝ちたい」という思いで走ってきました。今もその闘志は変わりませんが、そこに「走ることそのものを楽しむ」という感覚が加わっています。勝利への激しい欲求と、自分の体や心を大切にする感覚。そのバランスを学びながらも、結果として国際舞台で勝ち続けているのが、今の姚妙選手です。
山から世界へ――姚妙が示すこれからのアスリート像
貴州の山村からフランス・アルプスの表彰台へ。姚妙選手の歩みは、トレイルランニングに興味がある人だけでなく、競技スポーツに関わる多くの人にとって示唆に富んでいます。過酷な競技であっても、健康と楽しさを犠牲にしなくてよいというメッセージを体現しているからです。
UTMBで3つのタイトルを手にした中国のランナーは、今もなお、中国トレイルランニングの歴史に新しい章を書き加えています。山を「逃げたい場所」から「自分を輝かせる舞台」へと変えたその走りが、これからどんな物語を生み出していくのか、注目が集まります。
Reference(s):
From mountains to podiums, Yao Miao's tale of trail running triumph
cgtn.com








