イーロン・マスク氏、フランス当局のX捜査聴取に不出頭
米国の実業家イーロン・マスク氏が先週、フランス司法当局によるソーシャルメディアプラットフォーム「X」(旧Twitter)とそのAIチャットボット「Grok」をめぐる捜査の一環で行われた聴取への出席要請に応じませんでした。この事件は、巨大テック企業に対する規制をめぐる米欧間の緊張関係をあらためて浮き彫りにしています。
フランス司法当局による大がかりな捜査
パリ検察当局によると、この捜査は当初、Xのアルゴリズムがコンテンツの扱いを歪めた疑いや、ユーザーデータの不正な抽出、性的ディープフェイクによる個人の権利侵害などの容疑を対象としていました。しかし、2026年に入り、Grokを介した児童ポルノ配布への関与や、性的ディープフェイク作成への加担の疑いも対象に加えられ、捜査は拡大しています。
聴取は今年2月、フランスのサイバー犯罪対策部門がXのパリオフィスを家宅捜索した際に設定されたものです。マスク氏を含む関係者数名に対する「任意同行」としての召喚でしたが、当局によれば、本人が応じなくとも捜査は継続可能としています。
背景にある「政治的動機」をめぐる主張
マスク氏は昨年7月、初期の捜査について「政治的に動機づけられた刑事調査」と反論しています。また、今月19日付の米紙報道では、米国司法省がフランス検察に対し、この捜査を「政治的動機」を持つものと見なし、協力しない方針を伝える書簡を送付したとされています。
これに対してパリ検察は、そのような書簡の存在を「知らない」としつつ、「フランス憲法は権力分立と司法の独立を保証している」とコメント。両国間の見解の違いが明確になりました。
巨大テック規制をめぐる国際的な摩擦
この出来事は、マスク氏が2023年にXを買収して以来、各国の規制当局から注視されてきた状況の延長線上にあります。プラットフォームのコンテンツモデレーションやデータ取り扱い、現地法への適合性などが広く問われてきました。
今回のフランスでの動きは、欧州が米国発の巨大テック企業に対し、罰金や課税、厳格な規制を通じて「不当な扱い」をしているとする、米国側の従来からの主張に新たな材料を提供する形です。メッセージングアプリ「Telegram」の創業者パベル・ドゥーロフ氏も2024年にフランス当局に身柄を拘束されるなど、欧州の規制姿勢は一貫して厳しいものとなっています。
Xの前最高経営責任者(CEO)であるリンダ・ヤッカリーノ氏を含む複数のX社員も証人として聴取の対象となっており、捜査は今後も続くと見られます。世界的なSNSプラットフォームの運営責任と、それを取り巻く各国の法制度の衝突は、デジタル時代の国際政治における重要な焦点であり続けています。
Reference(s):
Elon Musk fails to attend French prosecutors' X probe hearing
cgtn.com








