中国中部・王湖湿地 稲を刈らずに残して白鳥10万羽の楽園に video poster
中国中部の王湖湿地で、稲をあえて刈り取らずに残すという新しい取り組みが始まりました。渡り鳥のエサ場を確保することで、白鳥などの野鳥が集まる「楽園」として注目を集めています。
王湖湿地とは?渡り鳥が集まる中国中部の拠点
王湖湿地は、中国中部に位置する湿地帯で、渡りのシーズンになると多くの白鳥が羽を休める場所として知られています。毎年、越冬のために移動してくる鳥たちにとって、湿地や周辺の水田は貴重なエサ場と休息地になっています。
今年の渡りのシーズンも、王湖湿地にはすでに多くの白鳥が飛来しており、湖面や水田で羽を休める姿が見られます。そこに新たに加わったのが、「稲をあえて収穫しない」という取り組みです。
160エーカーの稲をあえて「収穫しない」取り組み
王湖湿地の周辺では、新しいイニシアチブとして、約160エーカー(およそ65ヘクタール)の水田が「収穫しないエリア」として設定されました。このエリアでは稲が刈り取られず、穂がついたまま残されています。
この狙いはシンプルです。収穫しないことで、
- 稲穂や落ち穂がそのまま白鳥や他の野鳥のエサになる
- 人の出入りが減り、鳥が安心して滞在できる空間が広がる
という効果が期待されています。人にとっての「収穫」を一部あきらめる代わりに、鳥たちの「生きる場」を優先する選択だと言えます。
白鳥10万羽規模の「バードハブ」に
こうした取り組みの結果、王湖湿地にはこれまで以上に多くの白鳥が集まり始めています。現地では、来年1月下旬までに、この地域を訪れる鳥の数が10万羽に達する見通しが示されています。
10万羽という規模は、単なる景観の変化にとどまらず、渡り鳥にとって王湖湿地が重要な「ハブ(拠点)」になりつつあることを示します。水辺と農地が隣り合う地域だからこそ、湿地と水田を一体的に守る発想が効果を発揮しているとも言えます。
農業と生態系をどう両立させるか
今回のニュースは、「食料生産の場」である水田が、「生き物のすみか」としても機能しうることを分かりやすく示しています。王湖湿地の例では、収穫をあえて行わない水田が、白鳥をはじめとする渡り鳥のエサ場となり、生態系の維持に役立っています。
世界各地で、農地のごく一部を野生生物のために残したり、農業のやり方を少し変えたりすることで、生物多様性を守ろうとする試みが広がりつつあります。王湖湿地の取り組みも、その一つの具体的な姿として捉えることができます。
私たちがこのニュースから考えたいこと
王湖湿地のケースは、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 経済的な効率だけでなく、生態系や景観など「目に見えにくい価値」をどう評価するか
- 人の活動と野生生物の生息地を、対立ではなく共存の関係としてデザインできるか
通勤中のスマホでこのニュースを読む私たちにとっても、「少しだけ人の側の都合を緩めてみることで、守れる命や風景がある」という視点は、身近な地域や日々の選択を見直すヒントになるかもしれません。
中国中部の王湖湿地で始まった、160エーカーの稲を残す取り組み。来年1月にかけて白鳥などの渡り鳥がどこまで集まるのか、その推移は今後も注目されそうです。
Reference(s):
cgtn.com








