UNHCR報道官が訴えるウクライナ人道支援 3年目の紛争が残した傷 video poster
ロシア・ウクライナ紛争が3年を迎える中、ウクライナで活動する国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報道官エリザベス・ハンズルンド氏が、政治的な議論の陰で見えにくくなりがちな市民の苦しみに目を向け、継続的な人道支援の必要性を訴えています。
紛争から3年、UNHCRが強調する「人間のコスト」
2025年12月現在、ロシア・ウクライナ紛争は3年を迎えました。ウクライナに駐在するUNHCR報道官のエリザベス・ハンズルンド氏は、その期間に積み重なった「人間のコスト」に改めて光を当てています。
ハンズルンド氏が特に懸念するのは、戦闘の最前線だけでなく、日常生活を送る一般の市民が長期にわたって受けてきた影響です。避難生活、家族の離散、仕事や学びの場の喪失など、ニュースの見出しには載りにくい変化が静かに、しかし確実に広がっています。
3,600校以上の学校が被害 子どもたちへの深刻な影響
UNHCRによると、これまでにウクライナでは3,600校以上の学校が被害を受けています。建物が破壊されたり、周囲の安全が確保できなかったりすることで、多くの子どもたちが教室で学ぶ機会を奪われています。
- 授業の中断やオンライン化に追いつけない子どもたち
- 友人や教師とのつながりを失うことで高まる孤立感
- 将来の進学や就職の選択肢が狭まる不安
学校は単に勉強をする場所ではなく、安心できる居場所であり、コミュニティの中心でもあります。その場が失われることは、地域社会全体の記憶とつながりが分断されることでもあります。
「ポスト紛争」議論の陰で見えにくくなる市民の声
国際社会ではすでに、ウクライナの「ポスト紛争」や「戦後の再建」をめぐる政治的な議論が進んでいます。どのような安全保障の枠組みをつくるのか、経済をどう立て直すのか――こうしたテーマは重要であり、各国の関心も集めやすい論点です。
一方で、ハンズルンド氏は、そうした大きな政治の議論の裏側で、いまこの瞬間も生活の立て直しに苦しんでいる市民がいることを忘れてはならないと訴えています。家を失った人、長期にわたる不安やトラウマに向き合う人、教育や医療へのアクセスが途切れた人たちにとって、「戦後」はまだ始まっていないのが現実です。
なぜ「継続的な人道支援」が必要なのか
ハンズルンド氏が強調するのは、ウクライナへの人道支援を「一時的なキャンペーン」で終わらせないことです。紛争が長期化するほど、国際社会の関心は別のニュースへと移りやすくなりますが、支援を必要とする人の数が減るとは限りません。
継続的な人道支援には、次のような意味があります。
- 避難生活が長期化する人々に、安定した住宅・食料・医療を届ける
- 被害を受けた学校や公共施設の再開を支える
- 子どもや若者の学び直し、心のケアを支える仕組みを整える
- 脆弱な立場にある人(高齢者や障がいのある人など)へのきめ細かな支援を続ける
こうした取り組みを続けるためには、各国政府だけでなく、市民一人ひとりが関心を持ち続けることも欠かせません。
ニュースを「見続ける」ことも支援になる
遠く離れた日本からできることは限られているように感じられるかもしれませんが、「忘れない」ことも支援の一つのかたちです。紛争のニュースを追い続けること、現地の人道状況に関する情報に触れ続けることは、国際社会の関心を維持する力になります。
また、家族や友人、職場やオンラインコミュニティでウクライナの状況について話題にすることも、間接的に支援の輪を広げる行動です。ハンズルンド氏の呼びかけは、ウクライナの人々のためだけでなく、「遠くの紛争」を自分ごととして考えるきっかけを世界中の市民に投げかけているとも言えます。
ロシア・ウクライナ紛争が3年を迎えた今、3,600校以上の学校の被害という数字の裏にいる、一人ひとりの顔や物語をどう想像し続けるか。UNHCRの訴えは、国際ニュースを読む私たちに、そんな問いを静かに投げかけています。
Reference(s):
UNHCR spokesperson in Ukraine calls for continued humanitarian support
cgtn.com








