ラサの「甘い壁」 ポタラ宮を塗り替えるXizangの年中行事 video poster
中国のXizang(シーザン)自治区の首都ラサでは、毎年、街全体が一つの行事で沸き立ちます。歴史あるポタラ宮の外壁を塗り直すこの行事は、単なる補修を超えた、市民総出のセレモニーです。ラサの人々は真っ白になった外壁を親しみを込めて「甘い壁」と呼びます。
「甘い壁」と呼ばれる理由
ラサのポタラ宮の外壁は、特別な塗料で塗り直されます。その材料は、白い石灰に加えて、牛乳、砂糖、はちみつ、そして地元で育てられたサフランです。何世紀にもわたって受け継がれてきたというこの独自の配合は、建物を守るための知恵であると同時に、甘さのイメージをともなう象徴的な存在でもあります。
砂糖やはちみつといった「甘い」素材が使われることから、ラサの人々は外壁を「甘い壁」と呼び、親しみを込めて見上げます。2025年の今も、この呼び名と習慣は生き続けています。
年に一度の「街ぐるみの塗り替え」
この塗り替えは、ラサにとって毎年の恒例行事です。ポタラ宮の白い外壁が塗り直される日は、街全体が祝祭ムードに包まれます。住民にとっては、歴史ある建築を自分たちの手で守り続けているという実感を共有する機会でもあります。
行事の日、ラサの人々は家族や友人とともにポタラ宮の周囲に集まり、真っ白に生まれ変わる外壁を見守ります。誰かが舞台でパフォーマンスをするわけではなくても、都市全体が「参加者」になっているような一体感が生まれます。
伝統と日常が交わる時間
ポタラ宮の塗り替えは、単なる保存作業ではありません。行事が続いてきた時間の長さや、何世代にもわたって受け継がれてきた塗料のレシピを思うと、それ自体が一つの「生きた文化」といえます。
日々の生活の延長線上に、こうした伝統的な行事があることは、ラサの人々の時間感覚や、街と歴史とのつながり方を形づくっています。子どもたちは、白く輝くポタラ宮を見上げながら、自分たちもこの大きな物語の一部なのだと自然に感じるのかもしれません。
甘さに込められた意味を考える
「甘い壁」という呼び名には、素材そのものの甘さだけでなく、ラサの人々がポタラ宮に向けるまなざしもにじんでいます。歴史ある建築を守ることは、ともすれば専門家だけの仕事になりがちです。しかしラサでは、街全体がそのプロセスに関わり、祝い、見届けています。
国際ニュースとして見たとき、この行事は、文化財の保護と市民生活がどのように結びつき得るのかを考えるヒントにもなります。技術的な保存だけでなく、人々の記憶や感情がそこに積み重なっていくとき、建物は単なる「遺産」を超え、地域社会の現在そのものを映す鏡のような存在になるからです。
ラサの「甘い壁」から見えるもの
2025年の今も続く、ラサのポタラ宮の塗り替え。白い石灰、牛乳、砂糖、はちみつ、サフランでつくる伝統の塗料と、街ぐるみの参加というスタイルは、古いものを守りながら暮らすということの一つの答えのようにも見えます。
スマートフォン越しに世界のニュースを追いかける私たちにとっても、この「甘い壁」の物語は、土地と歴史、そして日常の生活がどうつながっているのかを静かに問いかけてきます。次にラサやXizangのニュースを目にしたとき、真っ白に塗り直されたポタラ宮の姿と、そこに込められた甘い香りを、少し思い浮かべてみたくなるかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








