1000年の古都・慶州で未来を語る APECが映す静かなつながり video poster
韓国・慶州で開かれているAPEC首脳会議で、世界のリーダーたちが接続性やイノベーション、繁栄を語っています。その舞台は、千年の歴史を持つ古都であり、壁のない博物館とも呼ばれる静かな街。歴史と未来が出会うこの場所から、国際ニュースとしてどんなメッセージが見えてくるのでしょうか。
2025年12月現在、この静かな街は、APEC首脳会議を通じて世界の注目を集めています。CGTNの楊欣夢(Yang Xinmeng)記者は、まさにその瞬間をカメラに収め、過去と未来が交差する希少な光景を伝えています。
千年の古都・慶州 壁のない博物館が舞台に
慶州は、かつて古代の都として栄え、街全体が歴史遺産に包まれていることから、壁のない博物館と呼ばれてきました。石畳の道や古い建物が静かに佇む景色のなかに、何世紀にもわたる人や文化の交流の記憶が折り重なっています。
この街は、ただ過去を保存しているだけではありません。交易や学び、宗教や技術など、さまざまなつながりが行き交ってきた場として、時代ごとの変化を受けとめてきた場所でもあります。その慶州が、今、接続性やイノベーションを語る国際対話の舞台になっているという事実には、象徴的な意味があります。
APEC首脳会議:接続性・イノベーション・繁栄を議論
2025年、APECのメンバーのリーダーたちは慶州に集まり、接続性、イノベーション、繁栄をキーワードに議論を深めています。世界経済の不透明感や地政学的な緊張が語られるなかで、どのようにして人、モノ、サービス、データの流れを保ち、共通の繁栄を実現していくのかが問われています。
こうした中で楊記者は、会場内のやりとりだけでなく、その背景にある街の表情にも目を向けています。歴史を重ねてきた都市が、現代のグローバルな議論をどう受けとめているのか。その視点は、数字や声明文だけでは見えてこない物語を浮かび上がらせます。
静かな場所から生まれる未来のアイデア
最先端のテクノロジーや経済政策の議論は、しばしば大都市の会議場や華やかなフォーラムが舞台になります。ところが今回、世界の対話が選んだのは、古い寺院と現代的なテックゾーンが共存する、落ち着いた地方都市です。
古い石段を上るような、ゆっくりとした時間の流れのなかでこそ、次の一歩を考える余白が生まれるのかもしれません。楊記者が伝えるのは、まさにその「静けさ」の中から、未来のアイデアが立ち上がる瞬間です。時に最も力強い未来への発想は、喧騒ではなく、静かな場所で生まれる──そのことを、慶州という舞台が示しています。
古寺からテックゾーンへ 受け継がれる変化の知恵
楊記者がたどるルートは、古い寺院から市内のテクノロジーエリアへと続いています。かつて精神的な支えや学びの場であった寺院と、現在、新しい産業や技術の拠点となっているテックゾーン。一見かけ離れているように見える二つの空間には、共通するテーマがあります。
それは、変化をどう受けとめ、どのように次の世代へ引き渡すかという問いです。歴史的な建物は、ただ保存されるべき「遺産」ではなく、変化の時代にあってなお、人々に知恵や視点を与え続ける存在です。一方でテックゾーンは、新しい技術やビジネスモデルを通じて、社会の仕組みを更新しようとする場です。
慶州が長い時間のなかで培ってきたレガシーは、過去を守るためだけのものではありません。蓄積された経験や知恵をもとに、社会や技術の変化をどう導くのか。その姿勢こそが、今の国際的な議論に求められている視点だと言えます。
歴史が問いかける「接続性」
今回のAPEC首脳会議のテーマの一つである接続性は、交通インフラやデジタルネットワークだけを意味する言葉ではありません。慶州が見てきたように、人と人、人と土地、そして過去と未来をどうつなぐかもまた、大きな課題です。
国や地域の境界を越えた対話も、世代を越えた価値観の共有も、すべては「つながり」の質に左右されます。短期的な利益や数字だけでは測れないつながりの価値を、歴史ある街は静かに思い出させてくれます。
なぜ今、慶州から世界を語るのか
経済成長率や投資額だけを追いかけるなら、別の大都市で会議を開く選択肢もあったはずです。それでも千年の古都が国際対話の舞台として選ばれていることは、いくつかのメッセージを含んでいるように見えます。
- 歴史と未来を同じ視野に入れることの重要性
- 文化的な記憶とイノベーションを対立させず、共存させる視点
- 静かな環境で腰を据えて対話を深めることの価値
国際ニュースを日本語で追う私たちにとっても、これは他人事ではありません。自分たちの住む街や地域を、単なる過去の記念物としてではなく、未来を考えるための「生きた舞台」として見直すきっかけにもなります。
私たちへの静かな問いかけ
ニュースの見出しでは、首脳同士の会談や発表された数字に注目が集まりがちです。しかし楊記者のレンズがとらえたのは、その裏側に流れる、静かで長い時間です。にぎやかな会場から一歩外に出て、古い街並みを歩きながら交わされる何気ない会話のなかにこそ、次の時代を形づくるアイデアが潜んでいるのかもしれません。
慶州という千年の古都で交わされる対話は、未来は遠い高層ビルの中だけにあるのではなく、私たちの日常のなか、静かな場所にも息づいていることをそっと教えてくれます。APEC首脳会議をきっかけに、この街から発信されるメッセージを、私たち自身の暮らしや仕事、地域のあり方を考えるヒントとして受けとめてみる価値がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








