タクラマカカン砂漠に広がる緑の万里の長城 新疆で進む砂漠緑化 video poster
中国・新疆ウイグル自治区のタクラマカン砂漠で、「緑の万里の長城」と呼ばれる巨大な生態バリアが整備されてから、およそ1年がたちました。いま現地では、その外周を固める段階から、砂漠の内部をオアシスへと変えていく新たなフェーズに入っています。
タクラマカン砂漠に築かれた「緑の万里の長城」
昨年、中国・新疆のタクラマカン砂漠の縁をぐるりと取り囲むように植林が進み、「グリーン・グレートウォール(緑の万里の長城)」と呼ばれる防護林がつながりました。これにより、タクラマカン砂漠の外縁を「封じ込める」世界最長の生態バリアが形成されたとされています。
この「緑の万里の長城」は、砂漠から吹き出す砂嵐を抑え、周辺の町や農地を守る役割を担います。砂漠化が進むと、農地の生産性が落ち、人の暮らしや経済にも大きな影響が出ます。国際ニュースとしても、この地域の動きは地球規模の環境問題と結びついた重要なテーマになっています。
「ロック」から「グリーン」へ 砂漠化対策のフェーズ転換
この1年で、新疆の砂漠化対策は大きく変わりつつあります。これまでの主な目的は、砂漠の「縁」を植林や防砂林でロックし、砂の拡大を食い止めることでした。
現在はそこから一歩進み、砂漠の内部にまで緑を押し広げていく段階に移行しています。単に砂を止めるのではなく、植林や農地づくりを通じて、砂漠そのものの姿を変えていこうという発想です。
南縁のモユ県で進む3万8,000エーカーのプロジェクト
タクラマカン砂漠の南の縁、新疆ホータン地区モユ県では、いま大規模な砂漠緑化プロジェクトが進行中です。対象となるのは、広大な砂の海のような約3万8,000エーカーのエリアです。
現地では、数十台のローダーやブルドーザーが砂丘の間を行き交い、うねるような砂丘をならしていく作業が続いています。砂の動きを抑え、苗木を植えられる安定した地形に整えるための、時間との競争です。
このプロジェクトの次の重要なステップは、デーツの木として知られるナツメヤシを植えるための準備を整えることです。デーツは乾燥に強く、砂漠でも育ちやすい果樹であることから、
- 砂を固定して飛砂を抑える
- 農産物として収入源を生み出す
- 周辺に多様な植物や生き物がすむ環境を育てる
といった効果が期待されています。
砂漠が変わると、地域社会はどう変わるのか
砂漠化対策は、単なる環境保全にとどまらず、地域社会の姿そのものを変えていく可能性があります。タクラマカン砂漠の周辺で進む植林や農地開発が進めば、次のような変化が見込まれます。
- 砂嵐の減少による暮らしやすさの向上
- 農業や果樹栽培の拡大による雇用機会の増加
- インフラ整備が進むことで、交通や物流の利便性が向上
一方で、過酷な自然条件の中で長期的に植林を維持し、十分な水を確保していくことは簡単ではありません。だからこそ、現地で続く地道な作業の積み重ねが、今後も重要になっていきます。
砂漠化時代に何を学ぶか
世界各地で砂漠化が課題となる中、中国・新疆のタクラマカン砂漠で進むこの取り組みは、砂漠の縁を「ロック」し、内部を「グリーン」に変えていく一つのモデルケースといえます。
遠く離れた日本からこのニュースを眺めるとき、私たちは次のような問いを持つことができます。
- 「砂漠化」を単なる自然現象ではなく、人の暮らしや経済と結びついた課題としてどう捉えるか
- 環境対策と地域の発展を同時に進めるために、どのような仕組みが必要か
- 他地域の経験から、私たち自身の地域づくりや防災に活かせる視点は何か
タクラマカン砂漠で進む「緑の万里の長城」づくりは、砂の大地をオアシスへ変えようとする長期的な挑戦です。その変化の過程を追いかけることは、地球規模の環境問題を自分ごととして考えるきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
Live: Discover China's desert transition from barren sands to oasis
cgtn.com








