国連総会、ガザ即時停戦決議案を採決へ 米国拒否権の後も広がる支持
ガザで続く戦闘をめぐり、2025年12月現在、国連総会が再び世界の注目を集めています。安全保障理事会で米国がガザ即時停戦決議に拒否権を行使した一方で、193カ国が参加する国連総会が今週木曜日、即時かつ恒久的な停戦を求める新たな決議案の採決に臨むためです。
今週の国連総会で何が問われるのか
国連総会が採決する予定の決議案は、ガザでの戦闘について「即時、無条件、かつ恒久的な停戦」を求める内容です。各国の外交官によると、イスラエルが各国に反対を働きかけているにもかかわらず、採択に向けて圧倒的多数の支持が見込まれています。
今回の決議案には、次のようなポイントが盛り込まれています。
- ガザにおける即時・無条件・恒久的な停戦の要求
- ハマスが拘束している人質の解放要求
- イスラエルに拘束されているパレスチナ人被拘束者の返還要求
- イスラエル軍によるガザからの完全撤退の要求
- 人道支援物資への妨げのないアクセスの確保
- 民間人の飢餓を戦争手段として用いることや、人道支援への不法な妨害を強く非難する文言
決議案は、飢餓や支援遮断を「民間人の生存に不可欠な物資を意図的に妨げる行為」として厳しく批判しています。これに対し、イスラエルの国連代表ダニー・ダノン大使は、加盟国に送った書簡の中で「虚偽で中傷的な内容だ」と強く反発し、この決議案を「重大な欠陥があり有害な文書」であり、人質交渉を損ない、ハマスを非難していないと批判しています。
安全保障理事会では拒否権、総会では何が違う?
今回の動きの背景には、先週、安全保障理事会で否決された別の即時停戦決議案があります。この案も「即時、無条件、恒久的な停戦」とガザへの人道支援の妨げなきアクセスを求めていましたが、米国が拒否権を行使し、他の14理事国が賛成したにもかかわらず採択されませんでした。
安全保障理事会の決議には法的拘束力があり、常任理事国による拒否権が存在します。一方、国連総会の決議は法的拘束力はないものの、193の加盟国の多数意見として、国際社会の「世論」を映し出す象徴的な意味を持ちます。どの国が賛成し、どの国が棄権・反対に回るのかは、各国の対中東外交や対米関係を読み解く手がかりにもなります。
米国とイスラエルが懸念するポイント
米国は先週の安全保障理事会での拒否権行使について、自国が主導する停戦仲介の取り組みを損なう恐れがあると説明しています。今回の総会決議案に対しても、米国は慎重な姿勢を崩していません。
今週木曜日の国連総会での採決に続き、来週にはイスラエルとパレスチナの「二国家解決」に向けた国際的な取り組みを再活性化させることを目的とした国連会議が予定されています。二国家解決とは、イスラエルとパレスチナがそれぞれの国家として共存する構想を指します。
米国は各国に送った文書の中で、この会議の後に「反イスラエル的」と見なされる行動を取る国は、米国の外交政策に反する動きと受け止められ、外交上の不利益を被る可能性があると警告し、会議への参加自体も控えるよう促しています。
一方イスラエルは、今回の国連総会決議案について、政治的に動機づけられた「生産性のない茶番」だと批判し、各国に棄権や反対を呼びかけています。人質解放交渉の妨げになること、そしてハマスを名指しで非難していないことを問題視しているためです。
繰り返される停戦要求とガザの人道危機
ガザでの戦闘は、イスラム組織ハマスの戦闘員が2023年10月7日にイスラエルで1200人を殺害し、約250人をガザに連れ去った攻撃をきっかけに激化しました。イスラエルの集計によれば、その多くは民間人だったとされています。
これに対し、イスラエルは大規模な軍事作戦で応じ、ガザ保健当局によると、これまでに5万4000人以上のパレスチナ人が死亡しており、多くが民間人だとされています。瓦礫の下に取り残され、まだ収容されていない遺体も数千に上るといわれています。
イスラエルは11週間にわたりガザを封鎖した後、先月この封鎖を解除しましたが、その後も人道支援物資の流入は「わずかにとどまっている」とされ、国連は200万人を超えるガザの人々が飢饉の危機に直面していると警告しています。
こうした状況を受け、国連総会はこれまでも繰り返し停戦や人道的な「休戦」を求めてきました。
- 2023年10月 ガザでの「即時の人道的休戦」を求める決議を120カ国の賛成で採択
- 2023年12月 「即時の人道的停戦」を153カ国の賛成で要求
- 昨年12月 158カ国の賛成を得て、「即時・無条件・恒久的な停戦」を求める決議を採択
しかし、これらの国連総会による停戦要求は、現場の戦闘を止めることにはつながっていません。今回の決議案も、実際の戦闘や包囲の状況をそのまま変える「魔法の杖」にはなりませんが、国際社会の空気を示す指標として注目されています。
二国家解決と、これからの焦点
来週には、イスラエルとパレスチナの二国家解決に向けた国際的な取り組みを再び押し上げることを狙った国連会議が予定されています。米国は各国に参加自粛を求めていますが、多くの国は、長期的な政治解決と、目の前の人道危機への対応を同時に求められている状況です。
今回の国連総会決議案をめぐって、注目すべきポイントを整理すると、次のようになります。
- 193カ国のうち、どの程度の国が賛成に回り、どの国が棄権・反対するのか
- 飢餓の利用や人道支援妨害を強く非難する文言が、今後の議論や責任追及の枠組みにどう影響するか
- 人質解放交渉や、ガザへの支援拡大にどのような間接的影響を及ぼすのか
- 来週の二国家解決に関する国連会議に、どの国が参加し、米国の呼びかけにどう応じるのか
国連総会の決議は法的拘束力こそありませんが、各国がどのような立場を公に示すかという「政治的コスト」を伴う選択でもあります。ガザで続く戦闘、イスラエルとパレスチナの将来、そして国連という枠組みへの信頼。今回の一票は、それぞれにどのようなメッセージを投げかけることになるのでしょうか。
あなたなら、この決議案への各国の対応をどう読み解きますか。ニュースの一行の裏側にある、各国の思惑や人道的な課題に、少し立ち止まって目を向けてみるタイミングかもしれません。
Reference(s):
UNGA to vote on immediate Gaza ceasefire over U.S., Israel opposition
cgtn.com








