米国国務省が学生ビザ6,000件超を取り消し トランプ政権の強硬策とは
米国国務省が、主に法令違反や「テロ支援」などを理由に、学生ビザを含む6,000件以上のビザを取り消したことが明らかになりました。トランプ政権による留学生への強硬姿勢は、ガザ戦争をめぐるキャンパス抗議や言論の自由にも影響を与えつつあります。
6,000件超の学生ビザを取り消し
ロイター通信が米国務省高官の話として伝えたところによると、トランプ政権はこれまでに6,000件を超える学生ビザを取り消しました。第一報は米メディア「Fox Digital」が報じたとされています。
内訳として、約4,000件は滞在中の法令違反が理由で、その多くは暴行などの犯罪行為に関わるものだったといいます。また、約200〜300件については「テロ支援」に該当すると判断され、国務省の外務規程(Foreign Affairs Manual)に基づく「ビザ不適格」に当たるとして取り消されたと説明されています。
どのような組織への支援が問題視されたのかについて、高官は具体的な名称には触れていません。
背景:移民政策と学生ビザへの強硬姿勢
今回の大量取り消しは、トランプ政権が進める移民政策の一環とされています。政権は学生ビザを含む査証(ビザ)の審査を厳格化し、特に安全保障に関わるリスクの洗い出しを重視しているとされています。
SNSチェックと「政治的活動」への警戒
報道によると、国務省は2025年中に在外公館の外交官に対し、米国に敵対的とみなされる可能性のある申請者や、過去に活発な政治活動の経歴を持つ人に対して警戒を強めるよう指示しました。
また、ビザ審査では申請者のSNSアカウントやオンラインでの発信内容を確認する「ソーシャルメディア審査」が強化され、スクリーニングの範囲が拡大しているとされています。
ガザ戦争とキャンパス抗議、大学との対立
ガザ地区での戦闘を背景に、米国内の大学キャンパスではパレスチナの権利擁護を訴える大規模な学生デモが相次ぎました。これに対しトランプ氏は、複数の著名大学が「反ユダヤ主義の温床になっている」と厳しく批判しています。
とりわけハーバード大学との対立では、トランプ氏が大学への調査関連の資金を凍結し、非課税優遇の取り消しをちらつかせたと報じられています。この動きを受けて、欧州のいくつかの国が研究者や学生を呼び込むため、研究助成の拡充に動いているとされています。
外交戦略とビザ:どこまでが「安全保障」か
マルコ・ルビオ米国務長官は、学生を含む数百人、あるいは数千人規模のビザを取り消したと述べ、その理由として「米国の外交政策上の優先事項に反する活動」に関与したことを挙げました。
トランプ政権の当局者は、パレスチナ支持やガザでのイスラエルの軍事行動への批判を行った学生や永住権保持者(グリーンカード保有者)についても、国外退去の対象となり得ると説明しています。こうした活動は、米国の外交政策に対する脅威であり、「ハマス支持的」と見なされ得ると主張しています。
留学生・研究者への影響と、日本から見た論点
ビザの取り消し基準に「政治的表現」やオンラインでの発信が含まれるとすれば、米国を目指す留学生や研究者にとっては、従来以上に慎重な行動が求められることになります。
- 滞在中の法令を守ることはもちろん、デモ参加などの政治活動がどのように解釈され得るかを理解すること
- SNSでの発信がビザ審査や更新の際に参照される可能性を念頭に置くこと
- 受け入れ大学や奨学金団体が、留学生の安全や権利をどう守るのかを確認すること
日本から米国への留学や研究渡航を考える人にとって、ビザが外交・安全保障政策と強く結び付けられる流れは、無視できない要素になりつつあります。
「安全」と「自由」のバランスをどう考えるか
国家安全保障やテロ対策の観点からビザ審査を厳格化したいという政府の思惑と、大学キャンパスにおける言論の自由や政治的表現の場を守りたいという考えは、しばしば緊張関係に立たされます。
6,000件を超えるビザ取り消しという数字は、単なる移民統計ではなく、「どこまでが正当な安全保障上の措置で、どこからが表現の自由の制約なのか」という問いを突き付けています。海外で学び、働き、発信する人が増えるなかで、このバランスをどう考えるかは、日本の私たちにとっても他人事ではありません。
Reference(s):
U.S. State Dept revokes more than 6,000 student visas, official says
cgtn.com








