イランがIAEA協力を実質停止へ 国連安保理の制裁解除維持に不発
2025年12月上旬、イラン核問題を巡る緊張が一段と高まっています。イランの最高国家安全保障評議会(SNSC)は、国連の専門機関である国際原子力機関(IAEA)との協力を「実質的に停止する」と発表しました。背景には、国連安全保障理事会がイランへの制裁解除を維持するための決議を採択できなかったことがあります。
イランがIAEAとの協力を「実質停止」
SNSCは土曜日、マスード・ペゼシュキアン大統領が議長を務める会合の結果として声明を公表しました。声明では、イランのIAEAへの協力は今後「実際上、停止される」とし、核計画を巡る国際的な監視体制に大きな変化が生じる可能性を示唆しました。
評議会は、これまでイランがIAEAと協力し、核問題の解決に向けた提案も行ってきたと強調した上で、今回の決定は外部の対応を受けた対抗措置であると位置づけています。
国連安保理の採決と「スナップバック」
今回の動きの直接のきっかけとなったのは、金曜日に行われた国連安全保障理事会での採決です。2015年の核合意「包括的共同行動計画(JCPOA)」に基づき、イランへの国際制裁は一定の条件のもとで解除されてきましたが、その制裁解除を延長する決議案は採択されませんでした。
先月にはフランス、英国、ドイツのいわゆるE3が、核合意に盛り込まれた「スナップバック」メカニズムを発動しました。この仕組みは、イランが合意に違反しているとみなされた場合、30日以内に国連制裁を再び有効にすることを可能にするものです。制裁は今月中に再発動する見通しです。
- 2015年:イランと関係国が核合意JCPOAに合意
- 先月:E3が制裁再発動の「スナップバック」を発動
- 金曜日:制裁解除延長を巡る国連安保理決議案が不成立
- 今月中:国連制裁が再び有効になると見込まれる
E3への反発とSNSCの主張
SNSCは会合で、フランス、英国、ドイツによる対応を「軽率」と表現し、イランの核計画に関するE3の動きを強く批判しました。声明によると、イラン側はこれまでIAEAとの協力を続けるとともに、核問題を解決するための提案を提示してきたにもかかわらず、その姿勢が十分に反映されていないと主張しています。
評議会はまた、イラン外務省に対し、SNSCの決定に沿って国益を守るための外交協議を継続するよう指示しました。このことから、イランが外交ルートを通じて対応を進める姿勢を打ち出したと見ることもできます。
IAEAとの協力縮小が意味するもの
SNSCは「実質的な停止」と表現したものの、IAEAとの協力をどの範囲でどの程度縮小するのか、具体的な中身は明らかにしていません。ただ一般的に、IAEAとの協力が縮小されれば、査察官のアクセスや核施設の監視活動が制限され、国際社会がイランの核活動を把握しにくくなる懸念が生じる可能性があります。
IAEAは、核技術の平和利用を促進しつつ、核兵器への転用を防ぐ役割を担う国際機関です。イランとIAEAの関係は、核合意JCPOAの履行状況を確認する上でも重要な柱となってきました。それだけに、今回の「実質停止」は合意の将来にさらなる不透明感を与えています。
今後の焦点:核合意と地域情勢への影響
国連制裁の再発動とIAEAとの協力縮小が同時に進めば、イラン核問題を巡る信頼醸成は一段と難しくなります。制裁が強化される一方で監視が弱まれば、疑念や警戒が高まりやすくなるためです。
一方で、SNSCが外務省に「協議の継続」を求めていることから、外交的な対話の窓口はまだ完全には閉ざされていないとも言えます。関係国が制裁と圧力だけでなく、対話と合意の枠組みをどう再構築していくのかが、2025年末に向けた大きな課題となりそうです。
イラン核問題は、地域の安全保障だけでなくエネルギー市場や国際経済にも影響し得る国際ニュースの重要テーマです。今回のイランとIAEAを巡る動きが、今後の交渉の出発点となるのか、それとも対立の新たな段階の始まりとなるのか、慎重に見守る必要があります。
Reference(s):
Iran to halt cooperation with IAEA after UNSC fails to lift sanctions
cgtn.com








