イラン外相「国連制裁が復活すればIAEA合意は無効」 E3の動きに警告
イランのセイエド・アッバス・アラグチ外相が、IAEA(国際原子力機関)との協力再開に関する最近の合意は、国連制裁が再発動されれば無効になると警告しました。2025年12月現在、2015年のイラン核合意を巡る緊張が再び高まっています。
ニューヨークでの発言:協力か対立かの選択を迫る
アラグチ外相は、国連総会第80会期に出席するためニューヨークに到着した際、記者団に対して今回の発言を行いました。イラン外務省が公開した動画によると、同外相は「最近合意したIAEAとの協力枠組みは、国連制裁が再び科されるなら、その効力を失う」と明言しました。
焦点となっているのは、フランス、英国、ドイツの3か国(E3)が主導する「スナップバック」手続きです。アラグチ外相は、E3によるこの動きを「破壊的な行動」と表現し、もし国連安全保障理事会で手続きが最終的に完了するなら、イランは対抗措置を取ると警告しました。
同外相は「そうなれば、IAEAとの関係に新たな状況が生まれることになる」と述べ、核監視体制そのものが見直される可能性を示唆しています。
E3の「スナップバック」メカニズムとは
今回の国際ニュースの背景にあるのが、2015年のイラン核合意(いわゆる核合意)です。この合意には、イランが義務に違反したと判断された場合、国連制裁を比較的短期間で復活させる「スナップバック」メカニズムが盛り込まれています。
先月、E3はこのスナップバックを発動しました。この仕組みにより、イランが合意違反と見なされ続けるか、国連安保理で別の行動が取られない限り、30日以内に国連制裁が自動的に再発動される可能性があります。
国連安保理では、イランへの制裁緩和(制裁解除の延長)を継続する決議案が提出されましたが、採択には至りませんでした。このまま安保理で新たな動きがなければ、国連制裁は今月中にも復活すると見込まれています。
IAEAとの協力はどうなるのか
イランは最近、IAEAと核査察などの協力を再開することで合意したばかりでした。しかし、その前提には国連制裁の解除が維持されることが事実上組み込まれていたとみられます。
イラン国家安全保障最高評議会は土曜日、国連安保理がテヘランに対する国際制裁の解除延長に反対票を投じたことを受け、IAEAとの協力は「事実上」停止されると発表しました。アラグチ外相の「国連制裁が復活すればIAEA合意は無効」という発言は、この方針を裏付けるものです。
つまり、今後もしスナップバックにより制裁が正式に復活すれば、イランとIAEAの協力体制は大きく後退し、核開発の透明性が低下するリスクが高まることになります。
2015年核合意から10年:揺らぎ続ける枠組み
2015年に結ばれたイラン核合意は、当初、イランの核開発を制限する代わりに、国際社会が制裁を解除する「取引」として期待されました。しかし、この枠組みは長く安定しませんでした。
2018年の米国離脱が今につながる
アラグチ外相は、現在の緊張はすべて2018年の米国の一方的な離脱と、テヘランへの制裁再発動の結果だと強調しています。米国の離脱後、制裁は段階的に復活し、その影響は今も続いています。
核合意が圧力にさらされる中で、イランは合意の履行を徐々に縮小してきました。これは、合意の一部義務を段階的に守らなくしていく「縮小履行」として、国際社会の注目を集めてきました。
イランのメッセージ:圧力ではなく「尊重」と「尊厳」を
アラグチ外相は、西側諸国はさまざまな時期にイランを試してきたが、「圧力や脅しの言葉」ではなく、「尊重と尊厳」の言葉にだけ反応することを理解しているはずだと述べました。その上で、イランにとっても外交が唯一の解決策であるとの立場を改めて示しています。
同外相は「われわれは今も外交的な解決に準備ができている。ただし、それはイラン国民の利益を守り、安全保障上の懸念を十分に考慮するものでなければならない」と強調しました。
ニューヨークでの欧州側との協議に注目
アラグチ外相は、ニューヨーク滞在中に欧州のカウンターパート(外相ら)と会談する予定だと明らかにしました。そのうえで、「いまこそ、他の当事国が協力を選ぶのか、それとも対立を選ぶのか決めるべき時だ」と述べ、E3を含む各国に選択を迫っています。
今回の国際ニュースで注目したいポイントは、次の3つです。
- E3によるスナップバックが予定通り進み、国連制裁が今月中に再発動されるのか
- 制裁復活の動きに対し、イランとIAEAの協力がどこまで縮小・停止されるのか
- ニューヨークでの協議を通じて、外交的な妥協点が見いだされる余地が残っているのか
読み手への問い:核合意は再生できるのか
2015年の核合意から10年が経つ2025年末、枠組みは再び大きな岐路に立っています。国連制裁の行方とIAEAとの協力の有無は、中東の安全保障だけでなく、核不拡散体制全体にも影響するテーマです。
圧力と制裁を強めるのか、それとも相互の「尊重」と「尊厳」に基づく外交を模索するのか。イランと主要国がこれから選ぶ道は、国際社会の信頼と安全保障のバランスをどう考えるのかという、より大きな問いを私たちに投げかけています。
今後数週間の国連安保理での動きと、ニューヨークでの外交協議の結果が、2026年以降のイラン核問題の行方を左右する重要な分岐点となりそうです。
Reference(s):
Iranian FM: Agreement with IAEA invalid if UN sanctions reinstated
cgtn.com








