パキスタン、アフガン領内空爆を否定 国境テロ対策めぐり応酬
パキスタンとアフガニスタンの国境情勢をめぐり、両国の主張が真っ向から対立しています。パキスタン軍はアフガン領内での空爆を否定する一方、アフガン政府は自国の主権が侵害されたと強く非難しており、国境地帯の緊張が改めて注目されています。
パキスタン軍「アフガン領内での作戦は実施していない」
国際ニュースとして関心が集まる中、パキスタン軍の報道部門インタースービス・パブリック・リレーションズ(ISPR)の報道官、アフメド・シャリフ・チョードリー中将は、火曜日に記者団と非公式に意見交換し、前夜にアフガニスタン領内で軍事作戦を行ったとの見方を否定しました。
チョードリー報道官は、パキスタンが軍事作戦を行う際には「必ず正式に発表する」と強調し、アフガン側が主張するパキスタンによる空爆について「最近のアフガン側の主張は事実ではない」と述べました。
一方で、報道官はアフガン当局に対し、自国領内に拠点を置くテロ組織に対して「検証可能な行動」を取るよう求めました。パキスタン国内への攻撃に関与した武装勢力の隠れ家に対する確かな対策が取られない限り、「対話は行わない」として、対テロ対策を巡る強い不満もにじませています。
アフガン側は「主権侵害」と反発 10人死亡と発表
これに対し、アフガン政府は、月曜夜にパキスタン軍が実施したとされる空爆を強く非難しています。アフガン東部地域で少なくとも10人が死亡したとされ、「アフガニスタンの主権に対する攻撃だ」としています。
政府報道官のザビフラ・ムジャヒド氏は、アフガニスタンには自国の「領空、領土、市民を守る正当な権利」があると述べ、「必要な対応は適切な時期に取る」と警告しました。パキスタンが空爆の事実を否定する中で、アフガン側は犠牲者が出たと主張しており、両国の認識の隔たりが浮き彫りになっています。
10月にも国境で多数の死傷者 くすぶる緊張
国境地帯での緊張は今回に始まったことではありません。今年10月には、両国の国境沿いでの衝突により、双方で多数の死傷者が出ています。具体的な人数は明らかにされていませんが、「scores(数十人規模)」が死傷したと報じられており、国境管理と安全保障をめぐる対立が続いていることがわかります。
今回の空爆をめぐる応酬は、10月の衝突に続く新たな緊張要因となっており、国境地帯の不安定さが改めて浮上しています。
対立の焦点:テロ組織への対応
今回の国際ニュースの背景には、「テロ対策」をめぐる両国の不信感があります。パキスタン側は、自国への攻撃を行った武装勢力がアフガニスタン領内に拠点を置いていると見ており、アフガン当局に対して、実効性のある取り締まりを求めています。
一方のアフガン側は、パキスタンからの空爆とされる行為を「主権への侵害」と位置づけ、自国の安全と尊厳を守る姿勢を鮮明にしています。両国はともにテロ組織への対処を掲げつつも、相手側の行動や意図への不信が深まり、相互非難の構図が強まっています。
両国の主張のポイント
- パキスタン:アフガン領内での作戦実施を否定。テロ組織への対策をアフガン当局に要求し、「検証可能な行動がない限り対話はしない」と強調。
- アフガニスタン:パキスタンによる空爆で10人が死亡したと主張し、「主権侵害」と非難。自国防衛は「正当な権利」として、必要な時期に対応すると警告。
対話なき安全保障リスクと地域への影響
パキスタン側は「行動なき対話はしない」とする一方、アフガン側は「主権を守るための対応」を示唆しており、当面は言葉による応酬が続く可能性があります。軍事作戦の有無自体についても、両者の主張が食い違ったままであり、事実関係の確認は容易ではありません。
しかし、国境地帯で武装勢力が活動しているとされる状況の中で、両国の協力が進まなければ、誤認や誤算に基づく衝突のリスクは高まります。10月の衝突で多数の死傷者が出たことを踏まえると、安定の鍵は、情報共有や検証可能な仕組みづくり、そして軍事的措置だけに頼らない安全保障対話にあるといえます。
日本から見ると遠い地域のニュースに思えるかもしれませんが、テロ対策や国境管理をめぐるこの対立は、国際社会全体の安定や安全保障の議論とも深くつながっています。両国が緊張をエスカレートさせず、武力ではなく対話と協力を通じて国境の安全を確保できるかどうかが、今後の重要な焦点となります。
Reference(s):
Pakistan denies conducting cross-border strikes in Afghanistan
cgtn.com







