ブライトンSNS炎上 日本兵カードで中国本土サポが批判【国際ニュース】
プレミアリーグのブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオンが、第二次世界大戦中の日本兵をあしらった画像を公式SNSに投稿し、中国本土のサポーターを中心に大きな批判を浴びています。欧州のクラブとアジアの戦争記憶とのギャップが、あらためて浮き彫りになりました。
日本兵カード画像を投稿、アカデミーが謝罪
問題となったのは、ブライトンのユースアカデミーが投稿した1枚の画像です。日本人トップチーム選手のKaoru Mitoma(三笘薫)選手が、ユース所属の選手と笑顔で並び、その横にはサッカー選手カード風に加工されたHiroo Onoda(ヒロオ・オノダ)の画像が合成されていました。
Onodaは、第二次世界大戦で最後まで降伏しなかった日本兵として知られています。アジア各地での日本軍の行為を思い起こさせる人物を、ゲーム感覚のカードとして扱ったことに対し、多くのファンが違和感と怒りを示しました。
ユースアカデミーは土曜日、投稿を削除し謝罪しましたが、その後も波紋は広がり続けています。
中国本土サポーター代表「最初は偽物だと思った」
中国本土のブライトン公式サポータークラブでSNS運営を担当するJack Forsdikeさんは、この画像を見たときの衝撃を、こう振り返ります。
Forsdikeさんは、中国の国際メディアCGTNの取材に対し、「最初は本物だとは思えませんでした。多くの人が、編集されたものか、フォトショップか、AIで作られたものだと考えていました」と語っています。
拠点のハルビンから、Forsdikeさんはすぐにクラブにメールを送り、どれほど多くの人を傷つける投稿なのかを訴えました。メールでは、ファシストとして戦った兵士を持ち上げることの重大さについても強く指摘したといいます。
「中国本土のファンを大切にする」だけでは収まらず
騒動を受けて、クラブ側は問題の投稿を削除し、「中国本土にいるファンを非常に大切にしており、誰かを傷つけるつもりは全くなかった」とする声明を出しました。
しかし、こうした対応にもかかわらず、オンライン上の議論は収まりませんでした。コメント欄では、日本軍の侵略によって中国本土の兵士や民間人が数多く犠牲になった歴史を想起する声が相次ぎました。
その中には、日本軍による虐殺や性暴力、略奪などの行為が今も深い傷として残っていること、日本政府がこうした行為について十分な謝罪をしていないと指摘する意見も見られます。また、中国本土だけでなく、日本の侵攻を受けた他のアジア諸地域に対しても謝罪がなされていない、という批判も投稿されています。
欧州クラブとアジアの戦争記憶――すれ違う歴史認識
Forsdikeさんは、今回の件は欧州の一部でアジアの歴史への理解が不足していることを示していると見ています。第二次世界大戦をめぐる記憶は、欧州では主にヨーロッパ戦線に焦点が当てられがちですが、アジアでは日本軍の占領と抵抗の歴史が現在まで強い影響を持ち続けています。
世界中にファンを抱えるクラブのSNS担当者が、Onodaのような人物を「面白いエピソードを持つ兵士」として軽く扱ってしまえば、アジアの人々にとっては、未解決の痛みを軽視されたと感じるおそれがあります。
今回の投稿は、おそらく悪意ではなく、歴史の重みへの想像力の欠如から生まれた可能性があります。しかし、悪意がなかったとしても、結果として多くの人の記憶と尊厳を傷つけたことは否定できません。
グローバルスポーツに求められる「歴史リテラシー」
プレミアリーグのような国際スポーツでは、選手もファンも国境を越えてつながっています。その中でクラブやリーグに求められるのは、単なる情報発信力だけでなく、歴史や文化への基本的な理解と配慮です。
- 歴史上の人物や出来事をコンテンツにする際には、その人物がどのような行為と結び付けられているのかを確認すること
- アジアなど複数の地域の視点をチーム内で共有し、投稿前にチェックできる体制を整えること
- 問題が起きたときには、削除や形式的な謝罪にとどまらず、なぜ問題になったのかを学び、今後にどう生かすかを示すこと
こうした「歴史リテラシー」は、クラブにとってもファンにとっても、これからの国際スポーツを支える大切な要素になっていきます。
日本のファンにとっての問いかけ
今回のブライトンの騒動は、日本でサッカーを楽しむ私たちにとっても、他人事ではありません。日本軍の行為や戦争の記憶が、今も中国本土やアジア各地の人々にとってどれほど重いものかを、あらためて考えさせられます。
スポーツは本来、人をつなぐ力を持っています。その一方で、歴史を無自覚に扱えば、人と人との間に新たな溝を生んでしまうこともあります。クラブや選手の対応を見守りながら、私たち自身も、歴史をどう語り継ぎ、隣国の人々とどう向き合っていくのかを考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
Reference(s):
Brighton FC Japan WWII soldier controversy slammed by China fan leader
cgtn.com








