スーダン内戦で通信網が崩壊、ポートスーダンが「デジタル生命線」に video poster
スーダンの長引く内戦で国内の通信インフラが深刻な打撃を受けるなか、紅海沿岸の港湾都市ポートスーダンが、国をオンラインにつなぎとめる重要拠点として存在感を増しています。首都ハルツームなどの設備が大きく損傷する一方、国際データ通信の多くが同市近海の海底ケーブル経由へと寄せられているためです。
内戦が直撃した「通信」:光回線、データセンター、衛星拠点まで
今回の内戦では、国内の幅広い産業が影響を受けましたが、とりわけ通信セクターの被害は深刻だと伝えられています。各地の戦闘により、光ファイバー網が機能不全に陥り、データセンターや衛星関連施設も損傷。結果として、全国でサービスが不安定化し、開発も停滞しました。
現場では、限られた設備と条件の中で運用を続けざるを得ず、通信事業者は即興的な対応を重ねている状況だといいます。
ポートスーダンが担う新しい役割:海底ケーブルと衛星バックアップ
ポートスーダンは従来、貿易や人道支援の「海の玄関口」として知られてきました。ところが現在は、ハルツームや他州のインフラが大きく損傷した影響で、国際データ通信が主に同市近海の海底ケーブルを通じてルーティング(経路制御)されるようになり、非常用に設計された衛星バックアップも重要性を増しています。
この“細いが切れない回線”があることで、国内の完全な孤立は一定程度回避されている、という構図です。
政府・メディア・支援機関、そして市民生活まで支える「脆い安定」
ポートスーダンを起点に、政府機関、報道機関、人道支援団体、そして数百万人規模の市民が、必要最低限の情報の流れを確保しているとされます。一方で、その維持は簡単ではありません。技術者たちは、停電、治安上のリスク、交換部品や機材の不足のなかで、日々ネットワークを稼働させ続けているといいます。
通信大手の一つであるSudani Companyの運用担当トップ、モハメド・アルライエフ・アルトゥーム氏(副総裁兼CEO)は、被害の大きさをこう語っています。
「データ変圧器を3台すべて失い、州政府や機関向けホスティングを担っていたTier-4データセンター、アブ・ハラズ衛星局も完全に失いました。被害額は7000万ドルを超えます。それでも中核データセンターを復旧し、現在は全面稼働で、政府機関、民間機関、そしてスーダン全土の市民にサービスを提供しています」
「切れたら終わり」に近い緊張感
舞台裏では、技術チームがデータの経路を組み替え、光回線が不安定になれば衛星リンクを起動するなど、綱渡りの運用が続きます。技術者の間では、長時間の途絶が起きれば、地域によっては基礎的な通信だけでなく、銀行サービスや緊急時の連絡調整まで止まりかねない、という警戒感が共有されているようです。
通信の粘りが、経済(とくに金融)の下支えに
通信の持ちこたえは、経済面でも波及があるとされています。スーダンの経済学者モハメド・アルナイ氏は、戦時下で通信と銀行が連携してきた点を指摘します。
「通信セクターは戦争中、ハルツームで主要設備が破壊される中でも銀行と調整し、重要な役割を果たしました。業務は一時的にポートスーダンに移され、海外から新しい機器を導入して効率的にネットワークを復旧しました。これにより経済への打撃が緩和され、銀行サービスが活性化し、政府がハルツームで業務を再開する中で通信と銀行の両セクターが強化されました」
2026年1月現在:港湾都市から「国家の神経中枢」へ
戦闘が続き終結の見通しが立ちにくい中で、ポートスーダンの重要性は、物流拠点にとどまらず、スーダンを外の世界につなぐ“神経中枢”として高まっているとみられます。日々運ばれるのは物資だけではなく、途切れれば生活や行政、支援活動の前提が揺らぐデータそのもの——そうした現実が、都市の役割を静かに変えつつあります。
Reference(s):
Port Sudan emerges as Sudan’s digital lifeline amid conflict
cgtn.com








