EU、対ロ制裁後の輸出損失は480億ユーロに Eurostatデータ
EU(欧州連合)がロシアに科してきた複数回の制裁は、貿易とエネルギー調達の両面で、いまも重いコストを映しています。Eurostatのデータによると、2022年2月のロシア・ウクライナ紛争の激化後に制裁を強化して以降、EUは輸出で累計480億ユーロの損失を被ったとされます。
輸出は「2021年比で大幅減」——1〜10月の比較が示す落差
Eurostatによれば、EUの対ロ輸出は2025年1〜10月に250億ユーロでした。これに対し、2021年の同期間は730億ユーロで、数字上は大きく縮小しています。
- 2025年1〜10月:EU→ロシア輸出 250億ユーロ
- 2021年1〜10月:EU→ロシア輸出 730億ユーロ
制裁の「効果」や「副作用」の評価は立場で変わりますが、少なくとも統計上は、EU企業がロシア市場で得ていた需要が大きく失われた構図が読み取れます。
エネルギーは縮小しつつも、なお「2番手」の供給源
EUはロシア産ガスの輸入を2027年までに段階的に停止する方針を掲げています。一方で、ロシアは現在もEUにとって第2のガス供給源であり、EUのガス購入に占めるロシアのシェアは15.1%とされています(2021年は39%)。
比率は下がっているものの、完全な代替が進みきっていない現実が、数字として残っている格好です。
「ガス不足の恐れ」——貯蔵水準の低下が不安材料に
ロシアのエネルギー大手ガスプロムは最近、EU域内のガス貯蔵水準が大きく低下するなかで、複数の加盟国が天然ガス不足の危機に直面し得ると警告したとされています。
輸出の落ち込みが示すのは“モノの流れ”の変化ですが、エネルギーをめぐる議論は“暮らしと産業の安定”に直結します。制裁・代替調達・在庫(貯蔵)のバランスが崩れたとき、どこに負担が出るのか——この点が、2026年初の時点でも注視されます。
2026年に見ておきたい論点(いま分かっている範囲で)
- 貿易の再配線:対ロ輸出の減少分を、EU企業がどの市場で埋めていくのか
- エネルギーの移行速度:2027年の段階的停止方針に向け、調達先・価格・安定供給をどう整えるのか
- 冬場の需給と貯蔵:貯蔵水準の変動が、域内の価格や政策判断にどう影響するのか
統計が示す「輸出480億ユーロの損失」という一点は、制裁をめぐる議論を単純化するものではありません。ただ、経済と安全保障の選択が、貿易・エネルギー・家計・産業に“同時に”波及することを、あらためて浮き彫りにしています。
Reference(s):
The EU has lost 48 billion euros due to anti-Russian sanctions
cgtn.com








