欧州で失われた「牡蠣礁」を取り戻す動き:英国とスコットランドの挑戦 video poster
海の水をこして海岸の地形まで形づくる「牡蠣(かき)」が、いまヨーロッパで復活を目指しています。乱獲や水質汚染、生息地の喪失で在来のヨーロッパヒラガキが絶滅の危機にあるなか、2026年1月現在、英国では過去最大級とされる再生プロジェクトが進行中です。
牡蠣礁(かきしょう)とは?なぜ重要なのか
牡蠣は海水をろ過し、殻が積み重なることで「礁(リーフ)」のような構造をつくります。これが、さまざまな海洋生物のすみかになり、沿岸の生態系を支える土台になります。
しかし、ヨーロッパの在来種であるヒラガキは、長年にわたる過剰な採取、汚染、沿岸開発などの影響で個体数が大きく減り、かつて広がっていた牡蠣礁も失われてきました。
英国・ハンバー河口で進む「遠隔種付け(remote setting)」
英国では、ヨークシャー・ワイルドライフ・トラストが、ハンバー河口のスパーン・ポイント半島で牡蠣礁の再建に取り組んでいます。注目されているのが「remote setting(遠隔種付け)」と呼ばれる手法です。
遠隔種付けって何?
現場の海にすべてを任せるのではなく、管理された環境で幼生が定着しやすい状態を整え、再生を後押しする考え方です。狙いは、厳しい自然条件のなかでも定着率を高め、礁の“再スタート”を切ることにあります。
スコットランド高地では「大規模な種苗生産」と遺伝的多様性の確保
スコットランド高地では、最先端の孵化施設(ハッチェリー)が、前例のない規模でヨーロッパヒラガキを育成しています。オイスター・レストレーション・カンパニーは、在来牡蠣の「ブロッドストック(親貝)」を幅広く集める取り組みを進め、世界最大級の在来牡蠣ブロッドストック・ライブラリーの構築を目指しているとされています。
これは単に数を増やすだけでなく、将来の環境変化や病気リスクに備えるうえで重要とされる「遺伝的多様性」を守る発想です。
今回の動きが示すポイント(2026年の見どころ)
- 目的は“養殖の拡大”ではなく“生態系の基盤回復”:牡蠣礁を再生し、沿岸の生物多様性を支える土台を取り戻す。
- 技術と自然再生の組み合わせ:遠隔種付けや大規模ハッチェリーなど、人の手で初期段階を支えつつ、自然の回復力につなげる。
- 遺伝資源の「保険」をかける:親貝のライブラリー化で、多様性を維持しながら長期的な再生を狙う。
沿岸防災や生態系の回復が各地で課題になるなか、牡蠣礁の再生は「自然を使った解決策(nature-based solution)」のモデルになり得るとして期待されています。2026年は、定着率や生存率、礁としての広がりがどこまで確認されるかが、次の焦点になりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








