インド、西ベンガル州のニパウイルス流行「封じ込め」 周辺国は空港警戒強化
2026年1月、インド当局は東部・西ベンガル州で確認されたニパウイルス感染2例について、接触者の隔離と検査を進めた結果「流行は封じ込められた」と発表しました。致死率が高いとされる感染症だけに、域内の空港では水際の警戒が広がっています。
何が起きたのか:確認されたのは2例、接触者196人は全員陰性
インド保健省によると、ニパウイルス感染は昨年12月以降に西ベンガル州で2例確認されました。特定された接触者196人は隔離され、検査の結果はいずれも陰性だったとしています。
保健省は「状況を継続的に監視しており、必要な公衆衛生上の措置はすべて実施している」と説明しました。患者の詳しい情報は公表されていません。
なぜ周辺国が反応したのか:空港スクリーニングが一段と強化
インド国外での感染例は報告されていない一方、予防措置として複数のアジア諸国が空港での監視を強めています。背景には、インド国内メディアで「患者急増」を示唆する報道が先行したものの、当局が数値を「推測で不正確」と述べた経緯があります。
各国・地域の主な対応
- インドネシア、タイ:健康申告、体温確認、目視での体調確認などを強化。
- タイ:バンコクのスワンナプーム空港で、西ベンガル州からの直行便の到着ゲートにサーマルスキャナー(体表温を検知する装置)を設置。
- ミャンマー:不要不急の西ベンガル州渡航を控えるよう助言。渡航後14日以内に症状が出た場合は速やかな受診を呼びかけ。空港での発熱監視を強化し、検査体制や医療物資の準備も進めたとしています。
- ベトナム:食品安全の徹底を呼びかけ、国境、医療機関、地域社会での監視強化を指示(国営メディアによる)。
- 中国本土:国境地域での感染症予防措置を強化。リスク評価の開始、医療スタッフ研修の拡充、監視・検査能力の強化などを進めているとしています。
ニパウイルスとは:動物から人へ、人から人へも広がり得る
ニパウイルスは、1990年代にマレーシアでの流行を通じて確認された人獣共通感染症(動物から人へうつる感染症)です。果物を食べるコウモリ、豚、人から人への接触などで感染が広がる可能性があります。
ワクチンはなく、治療は合併症への対応などを中心とする支持療法(症状を和らげ体調を支える治療)に限られます。高熱、けいれん、嘔吐などが起こり得るとされています。
WHO(世界保健機関)による推定では致死率は40〜75%とされ、新型コロナウイルスより高い水準になり得る点が警戒されます。
過去の流行と、今回の「封じ込め」が示す焦点
ニパウイルスは、西ベンガル州で2001年と2007年に流行が報告され、近年は南部ケララ州での検出例が多いとされます。2018年にはケララ州で少なくとも17人が死亡する大きな流行もありました。
今回、当局は「接触者の追跡」「隔離」「一斉検査」という基本動線で封じ込めを強調しました。致死率の高さが注目されやすい一方で、現時点では(当局発表ベースで)確認例は2例にとどまり、接触者の陰性確認が進んでいる点が、状況を冷静に見極めるうえでの材料になりそうです。
(補足)1月28日、同州バラサトで関連が指摘された病院としてナラヤナ・マルチスペシャリティ病院が報じられています。
Reference(s):
cgtn.com








