イランと米国、オマーン・マスカットで協議へ 高まる軍事的緊張の中
イランと米国が2026年2月6日(金)、オマーンの首都マスカットで協議を行う予定です。会場や議題をめぐる直前の食い違いが表面化する一方、現地では軍事的な動きも強まり、「外交が途切れた瞬間に何が起きるか」が改めて意識されています。
協議は2月6日、開始時刻にも言及
イランのセイエド・アッバース・アラグチ外相は2月4日(水)、SNSのXで、協議が現地時間10時ごろ(GMT6時)に始まると述べ、開催準備を進めたオマーンに謝意を示しました。
今回の発表までには、会場や形式をめぐる公の応酬もあり、両国間の根深い不信感がにじみました。西側メディアは、少なくとも中東の9つの国が米国に対し協議を中止しないよう促した結果、ワシントンがマスカットでの開催に応じた、とも伝えています。
なぜ「マスカット」なのか:会場変更と“二国間”へのこだわり
報道によると、当初はトルコ・イスタンブールで、複数の地域の国がオブザーバー参加する形が検討されていました。しかしイラン側が、会場をオマーンへ移し、形式を「厳密な二国間」に絞り、核問題に限定することを提案。これが米側の反発を招いたとされています。
中国現代国際関係研究院(CICIR)の李子昕・副研究員は、イランの判断には複数の戦略的計算があると分析します。
- オマーンは中立的な仲介者としての評判があり、テヘランとワシントン双方と長年の関係を持つ
- トルコはNATO加盟国で政治的感度が高く、交渉が外部要因の影響を受けやすい
- 二国間形式に絞ることで、米国の同盟国がオブザーバーとして加わり「圧力の調整」を行う余地を狭める
- 議題を広げず、対立の中心が「イラン対米国」であることを地域に示す狙い
議題は真っ向から:イランは核と制裁、米国は“拡大交渉”
協議の中身は、すでに隔たりが大きいと見られています。
- イラン側:核問題と制裁解除に限定。ミサイル能力や地域での関係は交渉対象外
- 米国側:マルコ・ルビオ国務長官が2月4日(水)、有意義な交渉には弾道ミサイル計画、地域での影響力、米国が「テロ組織」と呼ぶ組織への支援、国内統治も含むべきだと主張
また、イスラエルは米国に対してより強硬な姿勢を求め、ウラン濃縮の停止、ミサイル開発の放棄、地域の同盟勢力への支援停止などを要求していると伝えられています。
外交の背後で進む軍事的な動き
協議が告知される同じタイミングで、両陣営の軍事的な構えも強まっています。
- 米国はここ数週間で中東での軍事プレゼンスを拡大し、空母「USSエイブラハム・リンカーン」や複数の誘導ミサイル駆逐艦などを展開
- 米中央軍は2月3日(火)、アラビア海上空で米F-35Cがイランのシャヘド139無人機を「自衛」のため撃墜したと発表。イラン側は、無人機は国際水域で「監視任務を完了した」と反論
- 2月4日(水)、イランのイスラム革命防衛隊(IRGC)は新たな地下ミサイル基地を公開し、昨年のイスラエルとの「12日間の戦争」を踏まえ、ドクトリンを「防御から攻勢へ」移したと説明
- トランプ氏は2月4日(水)、最高指導者アリ・ハメネイ師は「非常に心配すべきだ」と警告したと伝えられる
軍事のシグナルが増えるほど、外交は「合意の場」であると同時に、「衝突回避の装置」としての性格も帯びます。今回の協議は、まさにその両面が試される局面になりそうです。
昨年6月に崩れた交渉レール、今回の再接続はどこまで
報道では、この協議は昨年6月に崩れた外交ルートを再びつなぐものだと位置づけられています。当時は交渉が行き詰まり、米国の対イラン空爆につながったとされています。
過去の交渉では、米側の「ウラン濃縮をゼロに」などの要求や、ミサイル開発・地域の代理勢力(プロキシ)に関する制約が争点となり、イランは繰り返し拒否してきた、とされています。
2月6日の注目ポイント(短く整理)
- 形式:二国間に限定されるのか、第三者の関与が増える余地があるのか
- 議題:核・制裁に絞るのか、ミサイルや地域問題へ拡張されるのか
- 「続く枠組み」:単発会合で終わらず、次回日程や作業部会につながるのか
- 軍事の管理:現場の偶発的事態(無人機など)を抑える仕組みが持ち込まれるのか
不信が強いほど、合意は「大きな一括」ではなく、限定的な一致や確認の積み上げになりがちです。マスカットでの協議が、緊張の連鎖を止める最小限の足場になるのか。まずは、両者が同じテーブルに座ること自体の重みが問われています。
Reference(s):
cgtn.com








