米国のパリ協定離脱発効で資金不足に――アフリカの気候プロジェクトが直面する現実 video poster
米国のパリ協定離脱が発効し、その影響がワシントンを超えてアフリカの地域林やマングローブ、若者主導の気候プロジェクトにまで広がっています。支援の空白が、気温上昇や洪水リスクが増すタイミングと重なったことが、現場の不確実性を一気に高めました。
何が起きたのか:USAID支援に依存していた現場で「資金の穴」
記事によると、米国の離脱発効を受け、ガンビアなどの環境団体では、米国国際開発庁(USAID)の支援に頼っていた取り組みが資金不足に直面しています。コミュニティと進めてきた森林再生、湿地保全、沿岸のマングローブ再生といった活動が、拡大計画の段階で足踏みを迫られているといいます。
背景:深まる「適応資金」の不足、2035年には年3100億ドル超の見通し
影響を大きくしているのは、もともと途上国向けの「適応資金(気候変動の被害に備えるための資金)」が足りていないことです。国際的な推計では、途上国の適応資金ニーズは2035年までに年3100億ドルを超える見通しとされ、資金の不足は「深く、拡大している」と専門家は表現しています。
つまり今回の問題は、単に一つの資金源が減ったという話にとどまりません。気候リスクが増す一方で、支援の予見可能性(継続性)が揺らぐこと自体が、計画の実行力を弱めてしまいます。
ガンビアの現場:小さな国が抱える大きな脆弱性と、若者の前線
西アフリカのガンビアは、アフリカでも小規模で気候影響を受けやすい国の一つとされます。Notre Dame Global Adaptation Initiative(ND-GAIN)の評価では、同国の気候レディネスは世界151位とされ、気候ショックを吸収する制度面の余力が限られる状況が示唆されています。
若者主導の団体「Great Green World Frontline Gambia」の国リード、マイムナ・ジャビー氏は、地域とともに乾燥地・湿地の樹木、とくに在来種の回復に取り組み、湿地ではマングローブの再生も進めてきたと説明します。一方で、米国の気候資金が急に失われたことで、活動を広げる計画が乱れたといいます。
ジャビー氏は「とても大きな失望でした。コミュニティにとっても、私たちにとっても混乱が起きた」と述べ、今後はより自助的な運営が必要になるとの認識を示しました。
「支援は突然消える」—若者が得た苦い教訓と、それでも残る余地
資金凍結は、若い活動家にとって「国際支援は永続しない」という現実を突きつけた形です。Young Champion Debaters Associationのムハンメド・バー氏は「支援がなくても、私たちにできることはある。最終的に、気候変動の危険から誰かが救ってくれる責任があるわけではない」と語りました。
この言葉は、支援の必要性を否定するというより、外部資金に依存しすぎるリスクを見据えたものとして読めます。資金の継続が読めないほど、地元の人的ネットワークや小規模な資金循環、行政・民間・市民社会の連携設計が問われます。
目標は掲げた、その先:2050年ネットゼロと「資金調達」という現実問題
ガンビアは2016年にパリ協定に参加し、長期戦略(Long-Term Climate Neutral Development Strategy)で2050年までのネットゼロ達成を掲げています。ただ、気候政策の専門家は「意欲だけでは足りない」とみています。
WASCALの気候変動・教育分野の博士研究プログラム責任者で、元気候交渉官でもあるシダット・ヤッファ教授は「資金なしで目標を達成するのはほぼ不可能だ」と述べ、米国支援の喪失により、政府と市民社会が代替資金源を探す必要が強まると指摘しました。
今後の焦点:気候資金が「変動する時代」に、プロジェクトはどう続くか
ガンビアは気候コミットメントで国際的な評価を得てきた一方、気候資金が変動しやすくなる中で、若者主導の運動がどこまで継続力を持てるかが試される局面に入っています。2026年2月現在、各地で起きているのは「気候影響が加速する速度」と「資金の不確実性」が同時に進むという、現場にとって最も難しい組み合わせです。
支援が途切れたとき、プロジェクトは止まるのか、形を変えて続くのか。その答えは、資金の規模だけでなく、地域に残る学び、担い手、合意形成の積み重ねにも左右されそうです。
Reference(s):
US exit from Paris pact leaves African climate projects short of funds
cgtn.com








