NY連銀報告:トランプ関税の負担、米消費者と企業が約9割
米ニューヨーク連邦準備銀行(NY連銀)は2026年2月12日(木)に公表した報告書で、トランプ政権が導入した関税のコストの「ほぼ大半」を、米国の消費者と企業が負担していると示しました。関税は海外が払う、という従来の主張と食い違う内容です。
NY連銀が示した結論:「米国内が負担する比率が高い」
報告書によると、米国の平均関税率は昨年(2025年)に2.6%から13%へ大きく上昇しました。そのうえで、関税の影響(コスト)の吸収先を時期別に推計し、米国側が負担した割合は次の通りだとしています。
- 1〜8月:94%
- 9〜10月:92%
- 11〜12月:86%
時期によって数字は動くものの、総じて「約9割」が米国内で吸収された、という読み取りになります。
なぜ「海外が払う」になりにくいのか
関税は輸入品に上乗せされる税金です。直感的には「海外の輸出企業が値下げして吸収する」展開もありえますが、NY連銀は、トランプ氏の第1次政権期には海外の輸出企業が大きく値下げしなかったため、関税コストが輸入価格にほぼそのまま転嫁され、負担が「ほぼ100%」米国の買い手側へ移った、と整理しています。
言い換えると、関税の導入それ自体よりも、価格交渉力や代替調達の難しさ、供給網の硬直性が重なったときに、家計や企業の支払いとして現れやすい、という構図です。
CBO(米議会予算局)も同週に「価格押し上げ」を指摘
同じ週に米議会予算局(CBO)も、関税の引き上げが輸入品価格を直接押し上げた、という趣旨の分析を公表したとされています。CBOの推計は、負担の内訳をより具体的に示しています。
- 海外の輸出企業:約5%
- 米国企業(短期):約30%
- 消費者(値上げとして転嫁):約70%
NY連銀の推計(米国側が大半を吸収)と、CBOの推計(最終的に消費者へ大きく転嫁)は、方向性として整合的です。
関税は「歳入・交渉・国内回帰」を狙うが、揺れも生む
入力情報によれば、関税はトランプ氏の経済アジェンダの中心に位置づけられ、政府歳入の拡大、貿易相手への圧力、製造業の国内回帰(リショアリング)を後押しする狙いがあるとされています。一方で、政策の調整が繰り返されることで、市場の変動が大きくなり、先行き不透明感が強まったとも指摘されています。
企業にとっては、コスト増だけでなく「どの品目に、いつ、どれだけ関税がかかるのか」という予測の難しさが投資判断を鈍らせることがあり、家計にとっては値札の上昇としてじわりと効いてきます。
いま注目されるポイント(整理)
- 負担の帰着:関税コストは海外ではなく、米国内(企業・消費者)に集まりやすい
- 物価への経路:輸入価格の上昇が、最終的に小売価格へ波及しうる
- 不確実性:政策変更の頻度が高いほど、企業の計画が立てにくくなる
関税は「誰が支払うのか」をめぐって議論が先行しがちですが、NY連銀とCBOの数字は、コストがどこに積み上がっていくのかを静かに可視化した形です。
Reference(s):
New York Fed: U.S. consumers, businesses bear nearly 90% tariff costs
cgtn.com








