世界最大のダイヤモンドはどこから来たのか?地球深部の「鉄分豊かな領域」という意外な起源が明らかに
なぜ、一部のダイヤモンドだけが桁外れな大きさと価値を持つのか。その謎を解き明かす重要な手がかりが、地球の深部に見つかりました。
南アフリカのケープタウン大学(UCT)を中心とした研究チームは、世界最大級のダイヤモンドの形成プロセスに関する最新の研究結果を発表しました。2026年4月に学術誌『Nature Communications』に掲載されたこの論文は、宝石としての価値が極めて高い巨大ダイヤモンドが、地球内部のどのような環境で育ったのかを詳細に記述しています。
謎に包まれていた「CLIPPIRs」とは
今回の研究が焦点を当てたのは、「CLIPPIRs」と呼ばれる希少なカテゴリーのダイヤモンドです。これは、以下のような特徴を持つ宝石を指します。
- Cullinan-like(カリナン・ダイヤモンドのような巨大さ)
- Large, inclusion-poor, pure, irregular, resorbed(大きく、不純物が少なく、純度が高く、不定形で、再溶解の跡がある)
これらのダイヤモンドは、その特異な性質から、これまでどのような条件下で形成されたのかが十分に解明されていませんでした。
地下150km以上の「鉄分豊かな領域」が鍵
研究チームは、これらのダイヤモンドを地表まで運んできた「キンバーライト」という岩石を分析しました。その結果、地下150km以上のリソスフェア(岩石圏)の底部にある、鉄分が異常に多い領域からサンプルが採取されていることが分かりました。
さらに詳しく調べると、この領域には「古代の海洋地殻」の同位体シグネチャー(化学的な指紋のようなもの)が含まれていました。つまり、かつて海の下にあった地殻がプレートの沈み込みによって地球深部へ運ばれ、それがマントルに取り込まれたことで、巨大な結晶が育つ特別な環境が作られたということです。
国際的な協力で解明された地球のメカニズム
この研究は、ケープタウン大学のキンバーライト研究グループに加え、ワシントンのカーネギー科学研究所、および中国地質大学(北京)の研究者らとの共同研究によって成し遂げられました。
研究を主導したジェフリー・ハワース准教授は、上昇するキンバーライトの溶融体と、深部の鉄分豊かな領域が相互作用したことで、CLIPPIRs特有の巨大な鉱物結晶が生成されたと説明しています。
「これらの類まれなダイヤモンドは、長い間謎に包まれてきました。今回の研究で、大陸の遥か深部にある鉄分豊かな環境で成長し、沈み込んだ古代の海洋地殻から形成されたことが明らかになりました」とハワース准教授は述べています。
地球のダイナミズムを読み解く
今回の発見は、単にダイヤモンドの産地を特定するだけではありません。キンバーライトの噴火によって地表に運ばれた「オリビン(かんらん石)」という鉱物の化学分析を行うことで、地球内部の不均一な組成や、火山岩が噴出するメカニズムをより深く理解できる可能性を示しています。
1905年に南アフリカで発見された、3,106カラクトという史上最大重量を誇る「カリナン・ダイヤモンド」のような奇跡の宝石は、地球が数億年かけて行ってきた壮大な物質循環の結果だったのかもしれません。
Reference(s):
Study uncovers deep-Earth origins of world's largest diamonds
cgtn.com