ガザで起きているのは「人為的な栄養失調」か。国境なき医師団が警鐘を鳴らす現状
国境なき医師団(MSF)は、ガザ地区における深刻な栄養失調の危機は、イスラエルによる食料や支援物資の意図的な制限によって作り出された「人為的なもの」であるとの報告書をまとめました。特に妊産婦や乳幼児への影響が壊滅的であると指摘しています。
「人為的」な危機がもたらした深刻な影響
MSFは、2024年後半から2026年初頭にかけて、ガザ地区で支援している4つの医療施設での状況を分析しました。その結果、栄養失調状態にある母親から生まれた乳幼児において、早産や死亡率が著しく高まっており、流産の急増も見られることが明らかになりました。
具体的に収集されたデータ(ハーンユニスとガザ市の新生児集中治療室で治療を受けた200人以上の母親と新生児が対象)では、以下のような実態が示されています。
- 妊娠期間中のどこかの時点で栄養失調の影響を受けた女性が半数を超えていた。
- 出産時においても、4分の1の女性が依然として栄養失調状態にあった。
支援体制の変化と構造的な課題
MSFは、こうした事態の原因として、不可欠な物資の封鎖や、医療施設を含む市民インフラへの攻撃を挙げています。また、報告書では「ガザ人道基金(GHF)」についても言及しています。GHFは、昨年設立された米国およびイスラエルが支援する民間組織で、国連による支援物資の配送を大部分的に代替することを目的としていますが、その運用による影響についても検証が行われました。
MSFの緊急医療責任者であるメルセ・ロカスパナ氏は、「2023年10月7日に紛争が始まる前、ガザにおける栄養失調はほとんど存在しなかった」と述べ、現在の危機が外部的な要因によって作り出されたものであることを強調しています。
停戦後も続く「極めて脆弱な」状況
ガザ地区では、2年にわたる激しい紛争を経て、昨年10月から停戦状態にあります。しかし、MSFは現在の状況を依然として「極めて脆弱」であると警告しています。
不安な治安状況、住民の避難、支援の制限、そして食料や医療への限られたアクセスが、母子の健康に壊滅的な影響を与え続けているためです。MSFはイスラエル当局に対し、支援物資の妨げない搬入を直ちに許可するよう強く求めています。
Reference(s):
cgtn.com