「戦火のガザで波に乗る」——絶望の中でサーフィンを続ける人々 video poster
激しい紛争が続くガザ地区において、日常の破壊とは対照的な、ある静かな情熱が生き残っています。それは、わずか数人のサーファーたちが、命の危険を冒してまで波に乗る姿です。なぜ彼らは、これほどまでにサーフィンに固執するのでしょうか。
絶滅しかけているガザのサーフィン文化
現在、ガザ地区でサーフィンを続けているのは、わずか3、4人と言われています。かつてはもっと多くの人々が海を楽しんでいましたが、いまやそのほとんどがこのスポーツを諦めました。
- 設備や道具の維持が極めて困難な状況にあること
- 修理するための部品が一切手に入らないこと
- 新しいボードを調達する手段が完全に断たれていること
サーファーの一人であるタシーン・アブ・アシさんは、道具の劣化が深刻な状況にあることを語っています。実際、2007年以来、ガザに新しいサーフボードが入ってくることはありませんでした。
家族よりも先に手に取る「唯一のボード」
紛争による避難生活は、彼らの日常を根本から変えました。アブ・アシさんはこれまでに4、5回も避難を繰り返してきましたが、そのたびに、家族よりも先に自分のボードを手に取ったといいます。
"もしボードを失えば、二度と手に入れることはできないからです"
彼にとってボードは単なるスポーツ用品ではなく、この過酷な環境の中で自分という人間を繋ぎ止める、かけがえのない存在なのでしょう。
恐怖の中にある「生」の実感
もちろん、そこには常に死への恐怖がつきまとっています。空爆が日常的に行われる中で海へ出ることは、極めてリスクの高い行為です。しかし、アブ・アシさんは、その恐怖が自分を海から遠ざけることはなかったと振り返ります。
死と破壊が支配する土地で、波に乗り、自然と一体になる時間は、彼らにとって「生きている」という実感を得るための、唯一とも言える精神的な救いなのかもしれません。
Reference(s):
Gaza's last surfers ride the waves amid death and destruction
cgtn.com